BOOK2
□No.50
1ページ/3ページ
残り数人となった海軍共と戦う術が無くなった私は、クルーに向き合って言葉をかける。
『後は…お願いしても良いかな?』
そんな私に、しょーがねぇな〜。と笑って立ち上がりかけた皆の動きがピタッと止まった。
『ッ?!』
それと同時に、背後で感じた凄まじい殺気。
『えッ…嘘…!!』
反射的に勢い良く、バッと振り返った私の視線の先には…
『な、なんで…?!』
「へへへ…詰めが甘ぇんじゃねーの?」
至極楽しそうな笑みを浮かべる“アイツ”が居た。
『何で…何でこんな所にいんのッ?!』
「お前を探してたんだよ。久しぶりだな…ミラー」
ニィと笑う私に向けられた優しいその顔は、昔と何一つ変わらない。
「会いたかったぜミラー!!」
悔しいから本人には言ってやんないけど…私の、私の大好きな顔。
『ふふ…久しぶりだね、ジギー!!』
あの顔を見ていると、私の心はじんわり暖かくなっていく。
『私も会いたかったよ!!』
やっぱり安心するからなの…かな?
でも…
「うぅ…痛ぇ…」
甲板では酷く悶える、先程まで怯えた様子で私に向き合ってた海軍等の姿が…その四肢をいずれか切り落とされた状態の。
『うわぁ…』
これだけは別の話し。
『相変わらず最悪だなサイコヤロー』
「そりゃ俺には最高の誉め言葉だろッ…ハハハッ!!いやぁ、本当久しぶりだなぁ!!元気だったか?5年ぶりぐらいだもんなぁ!!」
更に良い女になってんじゃねーかぁ!!なんて瀕死の海軍等を無視して、ニコニコ嬉しそうに笑いながら近づいて来るジギー…変わんないなぁ、本当。
『ジギーあのねッぬうぉッ?!』
ジギーに、海賊団の一員になった事を報告しようと私もアイツへ駆け寄ろうとしたその時…
『へ?はれ?』
グイッと腕を後ろに思いっきり引かれ、目の前が私の腕を引いた張本人であるローでイッパイになった。
「…お前さん、誰?」
返り血で真っ赤なジギーが、そんなローを睨み付ける。今の今までその視界に入ってなかったらしい。
「答える義理はねぇ」
ジギーもだけど…ローも凄い殺気を放っていて、思わず身震い。
こんなロー、初めて見た…
一触即発。まさにそんな雰囲気に誰も動けない。
「おーいミラーー」
そんな中、ジギーがダルそうに私の名を呼んだ。
「その不健康君だれぇ?お前の知り合いー?」
『え、あぁ!!ジギーこの人達は「お前の目的は何だ」……』
私の言葉はかき消され、代わりにローがジギーに言葉を放った。私何か今日こんなんばっか…
「………」
ジギーは答えず、面白そうにローを観察してる様子。
「んーそうだなぁ…お前に答える義理はねぇッ」
やっと返して来たと思った言葉は、先程のローと同じ台詞。うわぁ…相変わらず性格悪いなぁ。すげぇニヤニヤしてるし…
『あッ!!』
そんな空気の中、私はある重要な事を思い出し、思わず声が漏れた。