BOOK2
□No.51
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驚きを隠せない皆を一旦放置して、ジギーにこれまでの経緯を軽〜く説明。
「へぇー、お前能力者になったのかぁ」
どうせ腹減り過ぎて、そこら辺の実でも食ったんだろ?なんて呆れて言ってくるジギーに返す言葉もねぇッス。
『ふん…まぁ〜だから私の中での賞金額は、9千6百万のままなの。分かった?別に私は誰にもたぶらかされて無いから』
うん、分かった。って大人しく頷くジギー…本当に分かってんのかよ。
「じゃ、行こっかミラーッ」
疑いの眼差しを送っていると、案の定コイツはニコニコ私の手を引いて歩き出し…やっぱ分かってねぇよこの野郎!!
『だーっから私は「あんな訳分かんねぇツナギの野郎集団に、この俺がお前を置いとく訳ねぇだろ。船がねぇなら俺が乗せてってやるから」へ?』
不貞腐れたように尖らせた口元とは似つかわない、真剣な雰囲気漏れるジギーの横顔…
『ちょッ、ちょっと待ってよジギー!!私はもっと皆と一緒に居たいんだってば!!』
そう声を荒げる私に、ジギーは疑いの眼差しを寄越し、ゆっくりとその口を開いた。
「…一緒に居たいのは、本当に“皆”とか?」
『え…?』
それ、どういう意味?
「………行くぞ」
ジギーの言葉の意味が分からず困惑する私は、引かれるがままに歩みを進める。
「待てよ」
そんな私達を呼び止めたのはローだった。
目の前で進む出来事に思考が追い付かず、放心状態のクルー達と違い…どこか余裕がある様なポーカーフェイスは未だ健在。
「はぁー…」
やっぱお前か…そう大きくため息を吐くジギーは、私の手を固く握ったままローと向き合った。
「ソイツはもう俺のクルーだ。勝手な事してんじゃねぇ」
「クルー…ね〜。ふぅ〜ん…あぁ?ってかよく見りゃアンタ“死の外科医”じゃん」
…え、今更?
「ミラーが新星ルーキーとねぇ…気に入らねぇなぁ」
「フフッ…昔の野郎かと思えば、まさか兄妹だったとはな…面白ぇじゃねーか」
2人の間に散る火花。ヤバい、ジギーの奴…殺る気だよ。
『ジギー止めて。私ジギーがバラされる所なんか、見たくない』
真剣な顔でそう言えば、ジギーのふざけた顔が不機嫌に歪んだ。
「何お前、解体師の俺が逆にバラされるってかコノヤロー」
ローが本気で戦ってる所は見た事無いけど…それでも分かる。ジギーじゃ勝てない。
私がコクン、と頷いた瞬間…ジギーが先程の比じゃない殺気を放ちながら、私を背中に力強く押しやった。
「外科医君、お前に俺の可愛いミラーを任せる気はない。だいたい何でコイツをクルーにした訳?」
あッ、それは私がこの船に居たいって言ったから…私の口から直接そう説明しようと、ジギーの袖を引っ張った時だった…