BOOK2

□No.53
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目の前で心底ウザそうに俺を睨み付けてくる男に、俺は勝ち誇った笑みを向ける。お前に選択の余地はねぇんだよ外科医君。


でもまさかミラーが乗ってんのが、あの残忍…トラファルガーの船とはねぇ。


しかもどうやら、ただのクルーって訳じゃねぇ様だしよ…


(私を信じて)


アイツのあんな愛しそうな表情、初めて見た。


今まで俺に向けてきたものとはまた別の…どう足掻いても俺には一生向けられる事の無い顔を、アイツはあの野郎に向けやがった。


それだけでも胸が裂けそうだったのによー…ミラーがまた俺に禁止ワードをブッ込んでくるし…


(絶縁するか別行動するか選んでッ)


「………ッ」


(ジギーが殺り方を変えれば良いだけでしょ?!)


…無理だ。俺はどうあってもこの殺り方を変える訳にゃいかねぇんだよミラー…でなきゃお前が…


俺達のやり取りは変なペンギン帽によって遮られ、コイツ等俺達が実の兄妹だとこの時初めて知ったらしく、えらい驚いていやがった。


その後ミラーを連れて行こうとしたら、あのスカした生意気野郎がやーっぱ止めてきやがって…


しかもミラーをクルーにしたのは、コイツを気に入ったからだとか抜かしやがる。


(こんな兄貴を持ってさぞ不敏だろう)


クソッ…ムカつく野郎だ!!お前なんて、こーんな小せぇ頃のクッソ可愛いミラーを知らねぇくせに!!まぁ、今でも充分可愛いけどよ!!へへッ!!


「はぁ〜…」


でもミラーは、俺じゃアイツにバラされるなど言いやがるし、外科医君はミラーを手放す気はねぇと言う…


俺だってコイツをあんな陰気野郎にホイホイやる気はねぇよ!!


だが目に飛び込んで来た白い天使が俺の戦意をポッキリ破壊しちまった!!


何なんだよ?!一体あの生き物は何なんだ?!モフモフすぎんじゃねぇかチキショー!!しかもあれもクルーだと?!羨ましすぎるぜ!!


駄目だ、さっきまでの怒りなんか一瞬で消えちまった!!


あのモフモフの感触を我が手にーッ!!って所で…俺は後頭部を思いきり殴られ、意識が戻った時には幾らか頭も冷静になっていた。


んー…うん。まぁ、お試し期間ってのも悪くねぇかな。次の島まであと一週間ぐれぇだし。


ミラーが認めた男ってのを、見極めさせてもらいましょーかね…モフモフ堪能しながらよ!!



それが務め



(無理なんて言うなよ〜ホラ、兄貴って呼ばせてやらない事も無いよ?)

(……ROOM)

(やーッ?!ジギーあんたもうこれ以上喋んないでーッ!!)

(んーやっぱ兄貴は嫌だな。それにミラーはやらん)

(ジギーーーーッ!!バキッ!!ーッ……)

(((ミラーーーーッ!!)))

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