BOOK2
□No.56
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今、甲板では大変な騒ぎになっている。
「っしゃーコラーッ!!どんなもんでぃ!!」
ベポと海獣を捕まえると息巻いていた解体師が、この船の倍はある大物を仕留めてきやがったからだ。
「うおーッスゲー!!」
「デッケェ…」
「肉だーッ!!」
まさかこれ程の実力とはな。人体のみならず、海獣までをもバラしたのは良いが…あの野郎に計画性はねぇのか?
「なんか船…傾いてません?」
「いや沈んでってんだけど?!」
アレが全部乗る訳ねぇ…
「解体師、その辺にしろ。それ以上は乗せられない」
「あッ!!ペンちゃん!!スゲェだろッ。モフモフ天使も大喜びだぜ!!」
「ペッ?!…その呼び方は止めろ」
頭が痛い。コイツの緊張感の無さを見て、ミラーが2人居ると思えば…そう考えていたが、無理だ。
「モフモフ天使ーッ、好きなだけ食えよーッ?」
コイツはレベルが違う。
「なぁなぁペンギン!!前に俺がミラーの乳揉んだっての、アイツには内緒にしててくれよ?!」
俺確実にバラされちまう!!なんて半泣きのシャチはとりあえず放置だ。俺は今お前に構ってやれる余裕など無い。
「ペンギンペンギン!!キャプテンが捕まえた海獣、全部俺が食って良いって言ったんだ!!」
でも凄いの捕まえたから、皆で食べよう!!そう既にヨダレを垂らしてるベポも放置だ。勝手に好きなだけ食え。
「ペンギンこいつミラーの兄貴だけあって面白ぇよ!!」
ミラーよりブッ飛んでっけどな!!…馬鹿笑いが収まらねぇお前等は論外だ。すぐ打ち解けるその性格をどうにかしろ。
「ペンちゃーん!!これもう良いわッ」
粗方バラしたし!!と…ベポに肉を与えながら今の今まで使っていた牙を俺に寄越すお前、お前だよ俺の頭痛の原因は。
その後甲板に肉の焼ける良い匂いと、BBQ特有の煙が充満し始めても…俺は頭を抱えたままその場から動けなかった。
「おら、アンタも食えよ。結構イケんぞ?」
全ての元凶が俺に皿を寄越す。
「………」
正直今は飯よりも酒だ。飲まなきゃとてもじゃ無いがやってけねぇよ…あぁ、こんな事なら船長から奪った酒を残しておくんだったな…
大人しく皿を受け取るも口を付けない俺に解体師が、食わねぇの?などと訝しみながら聞いてきた。
お前は少し違和感と言うものを覚えろ。何故お前が平然と此処で飯を食っている。
「はぁ……酒が飲みてぇ…」
俺はつい口から本音が漏れてしまった。