BOOK2
□No.59
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今、俺には悩みがあるんだ…
これまでは、天気が良い日は甲板でミラーと昼寝するのが俺の日課だった。
だけどそこに…アイツが…アイツが来るんだ…!!恐怖の権化としか思えない…アイツが…!!
「モフモフ天使ぃーッ!!俺も昼寝するするぅ!!ミラー俺も混ぜろーいッ」
俺の腕にまとわりついて来るコイツ!!ちなみに、俺はモフモフ天使なんてダサい名前じゃない!!
コイツのせいで全然安眠出来ない…皆に助けを求めても苦笑いだし、キャプテンに言っても…
(静かで良いじゃねぇか)
そう言って、フフフ。なんて笑うんだッ!!酷いよ!!静かなのはキャプテンの周りだけでしょ?!
だから俺は決めたんだ。全部ミラーに告げ口しようって…コイツ、ミラーには頭が上がらないからなッ!!
でも…今日は俺がいつもみたく、ミラーに何かをチクるより速く…何故かアイツは既に怒られてた。
『アンタが私の頭にチョップかましてきて邪魔だったんだよ』
「だからって何であの野郎の部屋なんだよ!!良いか?男は皆狼だ、だが奴は虎だぞッ?!食われちまうって本当ッ」
なんだ、キャプテンもミラーと一緒に寝たかったのかぁ。
確かに、ミラーと昼寝すると気持ち良いんだッ。多分それは、ミラーが纏うあの雰囲気のせいだと思う…俺にとってミラーは、お日様だ。
2人はその後も散々言い合ってたけど、ミラーに、ウザい!!って言われてアイツは撃沈してた。ザマァミロ。
でも口論の後、キャプテンに診てもらうのだけは嫌!!って駄々こねるアイツの腕の傷を、不器用ながら治療してあげてるミラーの顔は優しかった。
「……ふんッ」
ちょっと悔しいから、今日はアイツに背中向けて寝てやる。
でも、そんなアイツも時々良い奴。
この前は腹イッパイ海獣の肉を食わせてくれた。俺の毛を整えてもくれたし、掃除も手伝ってくれた。
何より…アイツがミラーを見る目は、凄く暖かいんだ。皆のとも、キャプテンのとも少し違う。
俺はあの目が好きだ。だからアイツの事、嫌いじゃない。
抱き着くって言うより…凄い勢い良く突進して来たり、俺をあのダサい名前で呼んだりさえしなけりゃ、きっと好きになれる。
「なぁモフモフ天使ぃ〜…」
「…なに?」
そんなアイツが俺に頼み事をしてきた。珍しく、真面目な顔して。
本当はミラーと昼寝するつもりだったけど、巨大マグロくれたから、俺もしっかり引き受けるよッ!!
頼み事の内容は、訳が分からないものだったけど…何でも“さりげなく”が大事らしい。俺に出来るかな…上手くいけばまた海獣の肉くれるって言うから、俺頑張る!!
「じゃあ行ってきまーす」
とりあえずはコックが作ったご飯を、キャプテンに届ける所から始めよう。