BOOK2

□No.61
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『あぁーッ!!お前、あの時の?!』


何か見覚えが有ると思ったら…前回BBを求めて立ち寄った島で会った奴じゃんッ!!うげぇ追って来た訳?!


「なに、お前知り合いなのコイツ?」


『テメェもだろがシャチ!!前の島で追っかけて来た奴ッ』


あぁ!!アイツか!!なんて今更納得してるよ…どこまで馬鹿なのコイツ!!


「何なにナニ?殺ろうってか?!丁度良いッ!!俺は今ムカついてんだよコノヤロー!!」


怒りの矛先を、目の前の海軍に変えたジギーを慌ててまた抑える。もうやっぱコイツ面倒臭いッ!!


「前回実は非番だったから、そのまま逃がしたけどさ。その後俺が上司に怒られちゃってね…」


海軍の奴がダルそうに続ける。


「だからわざわざログ追って来たって訳。残念だけど、今回はきっと逃げられないよ、君達」


残念。なんて言いながら耳を掻いてるよ…ウッザこいつ!!


「テメェが俺達を捕まえられる程の野郎とは、残念ながら思わねぇけどなぁ?挑発してるつもりか?へへ…今すぐバラしてやっても良いんだぞ」


ジギーの目も段々本気モード。


「まぁ…確かに俺じゃ、実力が未知数のそこの2人だけならともかく、解体師を相手にすんのは荷が重いな。だが運が悪い事に…今回は俺の上司も来てんだよね」


ジギーがアイツにガン飛ばしている間、私は此処からどう逃げ出すか考えていた。コイツ一人なら、ジギーに任せて大丈夫だ。


木一本無いこの見通しが良い丘に、他の奴等が居る気配は無し。ログはとっくに貯まってるから、シャチと2人でダッシュして…撒ける。


『はぁ…』


ジギーとちゃんと、別れの挨拶したかったなぁ…


『シャチ、走るよ』


心残りを掻き消して、隣で身構えてるシャチにそう小さく耳打ち。


「ッ……」


シャチは、良いのか?と、遠慮がちにジギーへと視線を送ったけど…生きてりゃまた会えるでしょ!!って思い、私は静かに頷いた。


下半身に力を入れ、じゃ!!ジギーまたねッ!!って叫ぼうと、思い切り肺に空気を吸い込んだ…その瞬間だった。


「何だ、死の外科医が居ねぇじゃねぇかよ」


「「『?!』」」


今此処に居る誰の物でも無い、低く腹に響く声がして、その方向に慌てて目を向ければ…


「テメェ等の首揃えて、適当に固まってりゃ楽だったものを…」


今の今まで居なかった筈の奴が、先程の男の隣で私達を睨み付けている。


「テメッ?!…いつ現れやがった?!」


先程の男から目を離していない筈のジギーですら、この状況に困惑してて…どういう事?


「奴は上陸してない様ですよ、イーグル少将」


「「『なッ?!』」」


新手のこの男を警戒する中響いたその聞き覚えのある名に、私は目を見開いた。


『イ…イーグル?イーグル少将って言った今?!』


「マジかよッ!!」


「よりによって“ゲッター”がお前の上司だったとはな…」


イーグル少将、通称ゲッター…シュンシュンの実の能力者で、視界に見える範囲なら、何処でも瞬間移動が出来る奴だった筈…


「犯罪者共の中じゃ…お前を見掛けたら、見付かる前にズラかれって言われてるよ…お前、今まで狙いを定めた奴を、逃がした事無いんだってなぁ」


あのジギーの額に伝う汗がより一層、この状況がいかにヤバいものかを物語る。


本当に不味い…あの男が居る限り、逃げるって選択肢は無い。


「今回は人手が足りんで、部下はコイツ一人なんだよ。チマチマ探すの面倒くせぇから、船泊めてる場所吐きな」


イーグル少将が私達を威圧しながらそうため息を寄越す。


不味い不味い不味い…!!相手が悪すぎるって…!!
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