BOOK2
□No.61
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逃げ…られないよな。確実に。うん、無理だ…奴は瞬間移動マンで…うーんッ!!
『…はぁ……私がやる』
普段使わない頭をフル活動して考えたけど…イーグル少将から逃げるのは、不可能だ。
でも…私の能力なら、コイツを殺れる。
「おまッ!!何言ってんだよ?!いくらお前でもッ」
とりあえず落ち着けよお前!!ってアタフタするシャチ、お前が一番落ち着け。
「首刈りか。最近一気に賞金額上げたらしいが…あんま海軍舐めんなよ嬢ちゃん」
イーグル少将の殺気が、肌に突き刺さる。能力に頼ってばっかの奴じゃ無いのは、一目瞭然だ…でも…何かもう考えんの疲れた。
「…っだぁ!!止めだ止めだッ!!考えたって分かんねぇ!!あんたらバラして終わりッ!!それが一番手っ取り早ぇ」
おぉ、ジギーの奴喋んねぇと思ったら…一応色々考えてた訳ね。まぁ〜、その結果は流石兄妹と言うか…
『ん、そーゆー事。私だって売られた喧嘩はキッチリ買うよ?』
一気に戦闘モードに切り替えて、互いの牙を構えた私達を見て、今まで呆然とアホ面張り付けてたシャチが、ため息を吐き荷物をポイポーイ。
「ったく…お前等に付き合うのって、マジ大変…まッ、俺だって頭使うの苦手だし?こっちの方が性に合ってるわッ」
3人にもう躊躇いの表情は無い。私は、ニィっと笑ったこの口元を覆い隠した。
『あのウザい野郎、お願いして良い?』
私が腰に下がるストックの量を確認しながら2人に聞くと、任せなッ!!なんて、頼もしい返事が寄越された。
毎日少しずつ抜いてもらってるストックの量は、今半分程…
「随分顔付きが変わったじゃねぇか。まぁ、やるって言うなら殺るけどよ?」
「イーグル少将、あまり遊び過ぎると、あの人が来ますよ?」
…えッ?!あの人って誰だよ!!
「チッ、そうだったな…“あの人”の考えは本当に読めねぇ。何だって“あの野郎”と俺をこの島へ…」
まだ誰か居んのかよッ、それはダリィ!!
「あの野郎と顔合わせんのも癪だ…さっさと終わらせるぞ」
よし!!チャッチャっと始めよう!!
私が慎重にゆっくりイーグル少将へ歩み寄ると同時に、ジギーとシャチがあのウザい野郎へと突っ込み、私達から距離をとった。
「本当に嬢ちゃん一人で俺の相手をする気とはね…だいたいお前等、異色トリオにも程が有るだろ」
どういう関係なんだよ。そう睨んで来るイーグル少将の質問に素直に答えると、その厳つい顔が更に厳つくなった。
「まぁ、お前は元々犯罪者だ。海賊になろうが知らねぇが…まさかお前と解体師が兄妹とはなぁ」
私は左手に牙を、そして右手にボトルを構えて、おもしれぇ…と笑うゲッターと睨み合い。
ストックは無駄遣い出来る程の余裕は無い…確実にマーキングしなきゃ。
私が奴の何処にマーキングを施すか必死に考えていると、何の前触れも無く、正面に控えるゲッターの姿が…消えた。
『ッ?!くッ!!』
次の瞬間、背後で感じた凄まじい殺気ッ…私は反射的に、バッ!!と前方へ跳んだ。
数メートル先で慌てて体勢を整え、先程自分が居た場所に目を向ける。
『うーわ…』
するとそこには、ゲッターが低い体勢で、抜いた剣を振り切っている姿が…
足元を狙ってる所を見ると、アイツは“殺す”為に剣を振るってる訳じゃない…飽く迄私を“捕まえる”為。
『チッ…!!』
中途半端に攻撃食らって能力バレんのだけは、絶対避けないと!!
奴の気配は…大丈夫、ギリギリ感じれてる!!