BOOK2
□No.70
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「航海術を?」
『はいッ!!すっごい簡単な事だけでも良いから、教えて下さいッ』
ミラーがいきなり俺の元へ来て、そう頼み込み頭を下げてきた。
その光景に思い出すのは、先日甲板で宴をしている際、例の如く船長が俺に酒を持参してきた時の事だ…
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「ミラーが俺に?」
「あぁ…何か仕事を覚えてぇって来るだろうよ」
楽しそうに笑い酒を飲む船長へ、疑問の眼差しを向ける。何故今更仕事なんかを…そう考えていると、船長が言葉を続けた。
「船長の女として乗るには、戦闘員ってだけじゃ足りねぇ様でな」
律儀な奴だよめんどくせぇ。なんて、そんな言葉とは裏腹に口角を上げ、多分お前に頼み込むだろ。などと船長は、上機嫌な視線を寄越す。
…やはり今更だ。とっくの昔からそんな仲だろ?
俺が尚も、分からない…という顔を向ければ船長は、何だ驚かねぇのか。そう眉間に皺を寄せ、つまらなそうに酒を煽った。
待てよ…?確かこの前、海楼石がどうのって騒いでたが…
「もしかして…まだそんな仲で無かったんですか?」
俺が、受け取った酒瓶のコルクを飛ばしながらそう聞くと、意味深な笑みと共に、まぁな。などと答えが返ってきた。
驚きだ…あの船長がよく手を出さなかったもんだよ。
「まぁ…この酒に見合う事ぐらいはしましょう」
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「良いか?航海術には大きく分けて3種類有る。しかし、このグランドラインで使える技術は一つだ。それですりゃ当てにならない」
『ふむふむ…』
「スターナビゲーションって言ってな…天体の位置、風向き、海流や波浪によって船を進める技術だ」
『…ペンギンさん、それってもしや…スッゴい難しい?』
「ははは。ミラーには無理だろうな」
『そんなハッキリと?!』
くそぉ!!と頭を抱えるミラーについ笑ってしまう。
コイツも真っ直ぐだなぁ…まぁ、船長から酒ももらってしまった事だ。理解出来る範囲で教えてやるか。