BOOK2

□No.72
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『ジジ、ジギーから手紙、手紙きたッ!!』


私の絶叫に、何事かと甲板に集まった皆にその訳を説明すれば、マジかよッ?!早く読め!!って急かされアワワワワーッ。


「ミラーまだかよ?!早く開けろ!!」


『煩いシャチ!!緊張で手が震えてんだよチキショー!!』


ビリッと丁寧に封を切って、中から数枚に纏められた手紙を取りだし…皆の視線を浴びながら、ゆっくり深呼吸をして、私はその冒頭を読み上げた。


『ミラー、それからハートの諸君。喜べ、皆のジギー様は至って元気ランランだッ』


ウォーッ兄貴ぃ!!と、皆から上がる歓声。


ってか…コイツの文面、アホ過ぎてなんだか読むの、恥ずかしいんだけど。


ため息を吐きつつ、先を読み続ける。


『あの時、俺はガープのじぃちゃんとは、殺り合わなかった。正確に言えば…奴は俺を、見逃した。それはシャラクの野郎のお陰だが…これは書くのダリィから、省略な。テヘッ』


「「『…はッ?!』」」


テヘッ。じゃねぇよオイ!!そこ一番重要じゃね?!


ってか、ジギーが相手したのってあの、海軍の英雄だったの?!それ初耳なんだけどッ!!あのペンギンさんですら驚いてるし…


とと、とりあえず、続きだ!!


『オイお前等ッ、俺の可愛い可愛い、マジ可愛い、愛しのミラーは無事なんだろうな?』


「「「………」」」


…ちょ!!皆そんな、うわぁ何この痛い奴…って顔で私を見るな!!本当にそう書いてあんだよクソッ!!


『オ、オホンッ…キャスケット君は、まぁ〜馬鹿が取り柄の奴だから、きっと死なんだろ。そこは心配してねぇ』


むきゃーッ!!なんて怒ってるシャチは放置だな。だいたい当たってるし。


『俺は今、ガープのじぃちゃんから仕入れた情報を頼りに、新世界へと向かってる』


新世界?!まさか…グランドラインの後半じゃん!!


『ミラー、俺達が求める答えが、そこに有るかもしれねぇ。迷うな、そのまま進め』


私達が求める答え…両親の事?!


バッと目の前に居る皆に顔を向けると、すっげぇニヤニヤした顔が、ズラリと並んでた。


「新世界なんざ通過点だ。迷う訳ねぇ」


甲板の扉の横で腕を組むローが、口角を上げ放ったその言葉に、皆が賛同する。


新世界か…まさかこの私が、遠い後半の海を目指すなんて、旅を始めた頃は夢にも思わなかったけど…


『私達が目指すは、最果てだもんねッ』


私がニィッと笑ってそう言えば、一段と甲板が賑やかに騒ぎだした。


へへへッ。私だってもう、海賊だもん!!


『ハートの諸君。ミラーといっぱい遊んでやってくれ。俺の大事な妹だ。くれぐれも、扱いには気を付けろ』


任せろって兄貴!!心配いらねぇだろ!!と、沸き上がるクルー。


『キャスケット君、お前の罪は消えた訳じゃねぇって事、忘れんなよ』


「ひぃッ!!」


どっかでシャチの悲鳴が聞こえた。


『だが…お前の働き次第で、帳消しにしてやっても良い。ミラーを支えてやってくれ。お子様同士』


むきゃーッ!!私とシャチが綺麗にハモる。


だけどその後、シャチはビシッと私の手元を指差しながら、当たりめぇだコノヤロー!!なんて高らかに叫んだ。
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