BOOK2
□No.3
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『えぇ?!ロー、そんな事したの?!』
銀杏の木のすぐ側で宿をとり、荷物を置いた後…私達は近くの酒場に来ていた。
小さめなこの酒場は、ローが金にものを言わせ、今夜は私達の貸切状態。
「いや〜本当参ったよ…言い寄って来る女達に一言、消えろ。だぜ?!」
「それでも女達が引かなくてよぉ…バラしかけんの、皆で必死に止めたんだからな!!」
「船長、女だろうが容赦ねぇからな」
…恐ぇ。まさか一般女性にまでそうとはね…流石にそれは不味いよロー君。
少し離れた所で、気持ち良さそうに酒を飲むローを見やる。
『あッ、もーねぇのかよ…』
いつの間にか空になったグラスに舌打ちをして、私はカウンターまで行き、亭主に新しい酒を頼んだ。
「アンタ等海賊だろ?まさかこんな可愛い子まで無法者とはなッ!!がははッ」
亭主は海賊相手の営業には慣れている様で、臆する事無く、気さくに話し掛けてくる。
まぁね〜。なんて笑って新しい酒を受け取ると、亭主が少し声を潜め、忠告してきた。
「姉ちゃん、可愛いから特別に教えてやるよ。今この島には、アンタ等の他にもデケェ海賊団が滞在してんだと」
『デケェ海賊団?』
「何でも最近、相当な痛手を負ったらしくてな…ログが貯まっても、出て行かねぇらしい」
姉ちゃん達も気を付けろよ。なんて言ってきた亭主にその相手を聞いたが、そこまでは知らん。なんて高笑い。
なんだ、又聞き情報かよ…でもまぁ、覚えとくか。
『…?』
ふと視線を感じ、そちらに目を向ければ…ローと視線が絡み、こっちに来い。と、指でチョイチョイ指示された。
「何か面白ぇ話でも聞けたか?」
フフッ。と笑って酒を煽るローに、先程の話を告げる。
するとローは、隣で静かに酒を飲むペンギンさんに視線を送った。
「………」
それだけでペンギンさんは何かを悟ったらしく、無言で席を立つ。阿吽の呼吸だなぁ…
ペンギンさんはそのまま、酒瓶片手に店を出てしまったけど、皆はそれを気にせず飲み続け…店を後にする頃には、皆出来上がっていた。
完璧潰れたクルーに、肩を貸しつつ宿に戻り、最後はローによって部屋に投げ捨てられていったクルーに手を合わせてチーン…ドンマイ。
4階建ての宿で、クルーは2階の部屋を独占し、私とローは何故か4階の角部屋。
だから、無駄に長い道のりを進む。
部屋に着き互いにシャワーを済ませ、同じベッドに潜り込んだ頃には、時計の針は深夜を回っていた。
『ロー、流石に一般女性に刀向けちゃ駄目だよ』
ローの胸板に頬を寄せながらそう言うと、関係ねぇよ。って不機嫌な声。
「俺は忠告した。聞かなかったアイツ等がわりぃ」
どこまで俺様なんですか…私が呆れて乾いた笑いを漏らせば、ローが私の顔を持ち上げて、触れるだけのキスをしてきた。
「誘いに乗った方が、良かったか?」
意地の悪い笑みを向けて、そんな事を言ってくるロー。くッ…悔しい、言い返せねぇ…
『はぁ…私はとんでもない男に惚れちゃったらしいわ』
モテる男は大変ですね。私も嫌味ったらしく言ってやれば、ローは面白そうに笑い、また顔を寄せ…今度は深いキスをしてきた。