BOOK2

□No.5
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部屋に戻るとローはベッドに足を投げ出し、隣接する壁にもたれていた…スゲェ不機嫌な顔で。


『ロー?あの…さっきのは「何故俺を呼ばなかった」えッ?』


「牙もストックも持たず勝つ気だったのか」


鼻で笑いながら、ユースタス屋相手に大した自信だな。そう蔑んだ目で私を見るロー。うん…めちゃくちゃ怒ってるよ。


『ごめん…あの時、アイツの狙いは私だったから…私が上手く受け流して逃げれば、ローと殺り合わずに済むと思って…』


その言葉にローは更に眉間に深い皺を刻み、これでもかって程に私を睨んできた。


「俺が殺られる心配でもしてたのかよ」


語気が強まるローに、私は頭をブンブンブン。


『そうじゃなくてッ。だって、アイツも3億超えの悪党だよ?!無傷で終わるとは限ら無いじゃん…しかもここ宿だしッ』


それが何だ。って顔で私を見るローにため息を吐き、静かにベッドまで近付いて私はローの隣に腰を下ろした。


『一緒に過ごす、初めての島だよ?』


静かにそう漏らす私の言葉に、ローは不機嫌な顔を崩さず耳を傾ける。


『それなのに、ログが貯まるまで船で大人しくなんて…嫌だったの』


真っ直ぐ目を見てそう言えば、今度はローが盛大にため息をハァ…


「なら、お前が危険な目に合っても良いのか」


私の頬に手を添えながら、馬鹿だろお前。ってまたため息…どーせ馬鹿だよコノヤロー。


私がブスくれてると、グイッとローに抱き寄せられた。先程とは違い、柔らかいローの声が耳に響く。


「起きたらお前居ねぇし」


だって飲み物無かったんだもん。


「廊下でお前と誰か他の野郎の気配がしやがるし」


それは120%アイツが悪いんだぞ。


「…また俺の知らねぇ所で殺られる気かよ」


『ッ…』


能力に頼りすぎるな…そう言い私を抱き締めるローの腕に力がこもる。


『……』


あぁ、もう最悪。


きっと今、ローは私の嫌いな“あの顔”をしてる…あんな顔見たく無い!!って言った私が、そんな顔させてどーすんのさ…激しく自己嫌悪。


…ローは私の事、考えてくれてたんだよね。結局私は、ローと一緒に島を回りたい!!って…自分の為だけに行動してたって事か…本当、駄目だなぁ。


『ロー、ごめんね…私、自分の欲求を満たす事しか考えて無かった。ローの事考えてるフリして…全然考えてなんか無かったね…』


私も、ギューッ!!と力一杯ローを抱き締める。このまま2人の心が一つに溶け合って、隙間なんか消え去れば良い。


「俺の目が届かねぇ場所で倒れてみろ。バラしてやる」


確かに…格下相手ならまだしも、あのスーパー問題児相手に上手く逃げるなんて考え…甘かったかもしれない。


「お前のその能力は、決して万能じゃねぇんだ。過信するな」


『…はい。ごめんなさい』


素直に謝ると、ローは幾らか機嫌が直ったのか…身体をゆっくり引き離し、コツンッと額を合わせて、あの困った様な笑顔で、出掛けるか?と聞いてきた。


『…一緒に?』


当たり前だろ。って頬を撫でてくれるロー…私はこの笑顔が、堪らなく好き、



私だけが知る顔



(でもロー…こんな状況で、呑気に遊びに行って良いの?)

(別に俺は今ユースタス屋と殺り合っても構わねぇ)

(いやそれはちょっと…)

(じゃあお前は1人安全な場所にでも隠れてろ)

(…あぁ?!誰が逃げるかコンチキショー!!だいたい先に喧嘩売ってきたのアイツだし!!ロー!!遊び行くぞッ)

(…単純だなお前)

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