Wave

□かき氷大会
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「ではっ、第一回、かき氷大会開始ー!」

翔の言葉に、

「第二回があるのかよ?」

京介が突っ込んだ。

「うるさいなー! せっかく当たったんだから、活用しなきゃもったいないだろ?!」

膨れて見せる翔に、義人が呟く。

「つまり、道連れってことだな」


ここは翔の部屋。

大きな買い物袋を横に置いた亮太が、迷惑そうに言った。

「こんな夜中にかき氷大会って〜」

「とかなんとか言って、すげーいろいろ買って来てんじゃん」

翔に言われた亮太は、

「まぁね〜」

と買い物袋の中身をテーブルに広げ出す。


「イチゴにメロンにブルーハワイに…練乳とあずき…フルーツ缶まであるのか。すごいな」

一磨が感心した声を出す。

「じゃ、始めますか!」

翔が器を機械にセットして、スイッチを入れた。

ブーン…と派手な音がして、細かな氷が器に落ちて行く。

「…地味な大会だね」

器を見つめながら、京介が呟いた。

「京介はいちいちうるさいなぁ!」

翔がきっと睨むと、

「翔、スイッチ、スイッチ!」

一磨が慌ててスイッチを止めた。
削り過ぎて器から氷が溢れ出している。


「あ〜あ〜。ま、翔ちゃんからだから、そんなんでもいいんじゃん?  味は何がいい?」

「そんなんってなんだよ!…やっぱイチゴからかな」

なんだかんだと文句を言いながらも、興味ありげに見つめるメンバーの視線に囲まれて、翔が一口かき氷を食べる。

「どう?」

「どうって…まぁ、フツー」

亮太の声に、翔が覇気のない返事を返した。

「なんかさぁ、手で削った方が美味いって言わない?」

京介の言葉に、翔がちらっと義人を見た。

「義人、これ当たったとき、手動のかき氷機持ってるって言わなかったっけ?」

言われた義人は、気まずそうに視線をそらして、

「…余計なことを言った」

小さく呟く。

「それいいねぇ! 食べ比べしてみようよ」

亮太がニコニコと義人に声を掛ける。

「義人、持ってこられるか?」

一磨にまで言われて、義人にはもう逃げ場はなかった…
  




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