夢扉
□分かれる道の行く末は T
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『どこ?ここ?』
夜桜zは今、真白き空間にいた。
「ここは時の狭間だよ、z」
ふとして聞こえた男の声、後ろを振り向くと銀色の髪の青年が立っていた。
『えと、誰です?どうして名前を・・・』
「俺は神、名をヒトトキ。だから名前もわかる」
もうすでに慣れた作り笑い浮かべながら聞くと意外な答えが返ってきたため、一瞬固まり、どうせ・・・と思い嘘の笑顔を貼り付けて質問する。
『その神様が私に何のようで?』
「(こいつ信じてないな…)それが、間違って連れてきてしまってね」
おちゃらけた感じで言うヒトトキに少しムッっとし、そっけなく次の言葉を言い放つ。
『そ、じゃ元の場所に帰してください』
「いや、それは無理」
きっぱりと言い放つヒトトキ。
『んでだよ(やっぱりこいつもッ…)』
今、zの頭をしめるのは、昔よく遊んでいた自分を連れ去り、親に金を請求していた奴らの顔、憎憎しい奴らの顔を思いだし、zは、初めて貼り付けていた笑みを消した。
zの表情は無と化していた。
ゾクッ
zの表情が消えたとき、あたりをを満たしたのは不満と憎悪の殺気。神をも震わすその力に、ヒトトキは少し尻込みした。
「っ、だ、だが別の世界に送る事は出来る。(こいつ…)どうだ、他の世界で生きてみな
いか?(ヤバイ…!)」
思わず声が震えるヒトトキ、そんなヒトトキに気づきzは少しだけ殺気を収め、話が気になったのか先を促す。
『ホントにそんなことできんの?』
「出来るさ、だって俺、神だもん」
『ふーん』
殺気が少し収まったため、普通にしゃべる事が出来、出来る、と言ったヒトトキにzは、まだ疑り深い目でヒトトキを見ていた。
「、あのね、俺神なの、神サマなの!冗談抜きで!」
『…ふーん、じゃ、他の世界ってどこ?』
見た目20代のヒトトキが、あまりにも子供っぽいので、zは気が抜けた、と殺気を完全に収め、気になったことを聞き始めた。
「zの世界にある物語の中だよ、小説とか、アニメとか、漫画とかのね」
『・・・』
まさかの返答に、zは固まった。
「信じてないな、ねぇ、マジだからね、マジで言ってるからね!だからほら、何でもいいからそれのタイトルを言え、送ってやる」
『・・・・・』
…完全に信じたわけではないが、マジで送ってくれるというならうれしい、だがきっとこれは夢小説なんかで見るいわゆるトリップだろう。
だいたいトリップといったら行けるのはひとつの世界だけ。
…僕は欲張りなんだ、つかひとつに縛る事なんてぜってー無理、だからこう言ってみた。
『全部』 と。
そしたら「は?全部?そんな物語あったか?」と言われてしまった。
『ないよ、そんなタイトルの』
「じゃあ何で言うんだよ」
『自分の知ってるアニメ全部行きたいから』
zがそういうとヒトトキは固まった。どうやらフリーズしているらしい。『おーい』と声をかけるとハッっとしてzの顔をじっと見てきた。
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