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□君に近づくための決意
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貴方を初めて見たのは

野球をしている姿だった…





『君に近づくための決意』





彼を初めて見てから早一ヶ月。

あたしは物陰から野球部の練習を眺めることしかできない。

阿近くんはぶっきらぼうだけど女子に人気はあったし(イケメンだから?)男子からは一目置かれていた。

そんなすごい人を好きになってしまうなんてあたしもつくづく運がない。

このさいキッパリ振られよう。

そうすればあたしの存在は意識してくれるようになるだろうし、

もしかしたら…

とそう思わずにはいられない。

呼び出したのは体育館裏。

なんてベタなんだって思ったけど、そこしか思い浮かばなかったんだから仕方がない。

というか阿部くんは来てくれるのだろうか?

あんな、差出人の名前すら書いていない手紙を見て体育館裏まで来るような人なのだろうか?





「大丈夫だって!当たって砕けろ!」





バシバシと肩を叩かれて少し痛い。

友人の中ではあたしはもうフられているらしい。





「じゃあ時間だから行くね」

「健闘を祈る!」





なんだかわけのわからない応援を背に体育館裏へ向かう。





“5時に体育館裏へ来てください。一時間待って来なかったら諦めます。”





とそれだけ書いた手紙。

もしあたしが受け取っていたとしたら誰かの悪戯かなにかだと思い気にも止めなかっただろう。





「あ…」





体育館裏の木陰にたたずむ一つの影。

それが貴方だと見分けるのにそう時間はかからなかった。

汚れているユニホーム姿ですらかっこいい。

意を決して阿部くんに声をかけた。





「阿部くん…?」

「…呼び出したのってアンタ?」





初めて彼の目に止まったかと思うと嬉しさが込み上げる。

さぁ、これがあたしと貴方の


第一歩
(で、なんの用?)(好きです!お友達になりませんか!?)(…は?別にいーけど)




















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