人魚姫の結末
□王子様の追憶
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白石side
笑った顔が、瞬間的に誰かと被った。
「私、財前梓っていうの!」
ああ、わかった。
梓に似てるんや。
とはいっても、二人は顔も見るからに違えば性格も違うらしい。
なぜこの二人が被ったのかわからない。
いや、本当はわかってるんや。
今の梓じゃなくて、昔の梓に似てる。
幼いころ会ってから、再開した梓は、どこか昔とは変わってしまっていて、うまく笑えなかった。
でも帰り際、すっかり仲良くなった天音さんに声を掛けられたときは、
「白石さん、また遊びましょうね!」
「蔵くん、また遊ぼうね!」
すごく、自然に笑えた気がする。
王子様の追憶
(初めて会ったときの)
(一目惚れした梓と同じ笑顔だったから)