伸ばした手は虚空をつかんだ

□彼女の笑顔
1ページ/1ページ


確かに、私達は、幸せだった。





あの暑い暑い夏の日、すべてが狂ってしまうまでは----------










「美守ー!誕生日おめでとう!!」


「……ありがとう」






「なんでそこで泣くのー!?」






、幸せだったのに








「アンタなんて生まなければよかったッ!!!!!」




たとえ万人には愛されていなくとも









あの子の人生に邪魔なんだよ。

君みたいな存在は。結局お前らの友情は偽りだろ?


邪魔。迷惑。疫病神。そこんとこ、わかってる?




そんなこと、ホントはわかってた。










「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」






あの子は悪くない。

私があの子を利用してたから、罰が当たっただけのこと。

そう、自分に言い聞かせようとしても。





「アンタなんてもう友達だと思ってない!」


「どうせアンタが仕組んだんでしょ!?」





元の世界での幸せも偽りであったと、思い出してしまったから。










「美守…」




あの子が泣くから。罪悪感と劣等感はとどまる事をしらず。























ああ、神様、私はこんなことを望んだわけじゃない。


あなたが私を嫌いなら、消してよ。




日常の風景を。

幸せな記憶を。

あの子の想いを。

私の存在を。


















あの子への劣等感の憎しみと一緒に、消してよ。



















彼女の笑顔

(神と世界と私が壊した)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ