伸ばした手は虚空をつかんだ
□彼女の笑顔
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確かに、私達は、幸せだった。
あの暑い暑い夏の日、すべてが狂ってしまうまでは----------
「美守ー!誕生日おめでとう!!」
「……ありがとう」
「なんでそこで泣くのー!?」
、幸せだったのに
「アンタなんて生まなければよかったッ!!!!!」
たとえ万人には愛されていなくとも
あの子の人生に邪魔なんだよ。
君みたいな存在は。結局お前らの友情は偽りだろ?
邪魔。迷惑。疫病神。そこんとこ、わかってる?
そんなこと、ホントはわかってた。
「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」
「死ねばいいのに」
あの子は悪くない。
私があの子を利用してたから、罰が当たっただけのこと。
そう、自分に言い聞かせようとしても。
「アンタなんてもう友達だと思ってない!」
「どうせアンタが仕組んだんでしょ!?」
元の世界での幸せも偽りであったと、思い出してしまったから。
「美守…」
あの子が泣くから。罪悪感と劣等感はとどまる事をしらず。
ああ、神様、私はこんなことを望んだわけじゃない。
あなたが私を嫌いなら、消してよ。
日常の風景を。
幸せな記憶を。
あの子の想いを。
私の存在を。
あの子への劣等感の憎しみと一緒に、消してよ。
彼女の笑顔
(神と世界と私が壊した)