伸ばした手は虚空をつかんだ
□ただ一人に愛されること
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異世界に来て、すべてが変わった。
あの子は、神に愛されて願いをかなえてもらった。
なんで、なんであの子だけ。
私のほうが、あんなに、あんなに、
そこまで考えて思う。
ああ、そっか、私は、こんな嫌なこと考える奴だから願いが叶わなかったのね。
わかっていても、劣等感の逆恨みは消えてくれないんだよ。
通りすがりの幸せそうな家族を見て、そんなことを考えた。
ただ一人に愛されること
私のほうが、あんなに、あんなに焦がれていたのにね