heroism
□夢てふものは
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「自分の身体くらいコントロールしろよ」
「電車が揺れたからちょっとバランスが…!」
「うるさ…、朝から大声出すなよな」
「……」
もっと言い方があるだろうに!
そう思いながらも思わず声を大きくした私は文句を言えず、代わりにとその男を睨みつけてやった。
男はそんな私を鼻で笑うと、さっさと腕を離し肩からかけた鞄をかけ直す。
すました顔しやがって、と見ていれば。
「ッ、ええええ!?」
いきなり指を2本、私の眼球に向かって突き刺そうとしてきたのだ。
なんだこれ!普通に恐ろしいんですけど!失明の危機にばくばくと暴れ出す心臓を制服の上から押さえる私。
「ガンつけてくるから」
「だからって目潰し!?」
「じゃあ見んなよ」
「(恐ろしい人だ……)」
この見ていただけで目潰しをしようとしてくる男―――中葉先輩とのことを、少しお話しようと思います。