heroism

□夢てふものは
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中葉先輩と仲良くなったきっかけは、特別なドラマがあったわけではない。



―――それは高校2年の学期考査で、壊滅的というか歴史的な成績を叩きだした私に、担任の皆川先生が泣きながら言ったのが始まりだった。


放課後の教室に、私と皆川先生が向かい合って座る。




『多麻さん……、あなたこれからどう生きて行きたいの?』

「……すみません、一生懸命やっているんですが…」

『この成績は何…?なんで2年に進級するときの進路調査に文系希望って書いたの?どこにそんな自信が?』

「……り、理系はもっと駄目なんで……」

『これ以上悪い成績なんてないわ』


この高校は2年に進級する際、文系か理系かという調査用紙が配られ、それに応じてクラスが分けられるのだ。

私はその希望通り文系クラスへと入れられ、ものの見事に無残な成績を出している。



皆川先生はまじ泣きしながらも、酷く冷たい表情を浮かべているのでもうどういうことになってるんだかまるで分からん。


が、しかし「あなた遅刻と欠席だけは学年でトップなのよ」という先生に、思わず「ありがとうございます」と言ったのは間違いだったと理解した。




『つまりね、留年する可能性が非常に高い』

「……」

『留年、分かる?もう一度2年生よ』

「……嫌です」

『ごめんなさい』



ごめんなさいって何…!悲鳴を上げそうになりながらも、ひたすらどくどくと溢れ出す冷や汗を感じる私を冷めた目で見据える皆川先生。

 
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