短編
□夢現予報
2ページ/5ページ
その方の視線の先に目を向けると、骨壷を抱えた女性が歩いてました。
その女性の腹部の膨らみから、誰かの子供を身篭っていることがわかりました。
そんな身重な状態にも関わらず、彼女は歩くことを止めることなく、北の方角へ、ただ北へと足を進めていたのです。
「アレには難儀な想いをさせてしまった」
「難儀、とは?」
「アレには家族も国もあったのに、私はその全てから切り離したのだ。
それでも欲しかった。たとえ、世の理を覆したとしても、私にはアレが必要だったのだ」
「私にはわかりません。そこまでして一人の女性に傾倒するのか」