短
□**手に入らないモノ
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ソイツとの面識なんてこれっぽっちもなかった。
ただ
侑士の奴が「可愛い可愛い」っていうから
どんな奴だろうかと思って
声をかけてみただけだった。
「おい鶴萩。少し俺様に付き合え」
「きゃぁ///跡部様よ!」
「キャーー」
わざわざクラスまで出向いて
声をかけに来てやった。
大抵の女なら
即答で返事をだし
悦ぶだろう。
…だけど
コイツは何もいわない。
「おい、聞いてんのか?」
俺が言うと
鶴萩は顔を上げて
俺の目を見て
一言…
「お断りします」
「…ぇ?」
思わずマヌケな声が出る。
「スミマセンが、今日は用事がありますので…」
「…」
何も言わない俺の横をスッと歩いて
鶴萩は教室を出て行った。
「なにあれー。」
「跡部様のお誘いを断るなんて最低!」
「何様なのよっ」
周りの女たちが
口々に文句をいう。
(なるほどね…面白い奴だな…フッ)
俺は
心で微笑した。