手に入らないモノ
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ソイツとの面識なんてこれっぽっちもなかった。


ただ
侑士の奴が「可愛い可愛い」っていうから
どんな奴だろうかと思って
声をかけてみただけだった。





「おい鶴萩。少し俺様に付き合え」




「きゃぁ///跡部様よ!」

「キャーー」



わざわざクラスまで出向いて
声をかけに来てやった。


大抵の女なら
即答で返事をだし
悦ぶだろう。


…だけど
コイツは何もいわない。


「おい、聞いてんのか?」


俺が言うと
鶴萩は顔を上げて
俺の目を見て
一言…

「お断りします」



「…ぇ?」



思わずマヌケな声が出る。


「スミマセンが、今日は用事がありますので…」

「…」


何も言わない俺の横をスッと歩いて
鶴萩は教室を出て行った。




「なにあれー。」
「跡部様のお誘いを断るなんて最低!」
「何様なのよっ」



周りの女たちが
口々に文句をいう。



(なるほどね…面白い奴だな…フッ)


俺は
心で微笑した。
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