Sweet

□単細胞 AxN Nside
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「うわぁー!!!」

――……もー何よ…

金属が擦れる不快な音に、くそ馬鹿の悲鳴が同時に耳に突き刺さる

ほらみろマリオ死んじゃったじゃねーかよ

「ニノっ、ニノっ!」

ちょっと強めにゲーム機を閉じると、何やら指を抑えてこちらにダッシュしてくる相葉さん

「っで……どうしたんですか」

目の前に立って涙目の相葉さんは何も言わずに俺を見つめる
気持ち悪い雰囲気に俺が切り出す

「さっきの音、何? なんかあったの?」

「った……痛っ、痛っ!!!」

シュンと肩を落としていると思ったら、馬鹿な音量で叫び始める相葉さん
片耳を抑えて目をやると、赤い液体がポタッと床に落ちた

「な…っ!はっ!?どっか切ったの!?」

急いで相葉さんの抑えていた指を引っ張ると、案の定綺麗に入った赤い跡
そこから絶え間なく流れる血は、血の量からも傷が深いことを感じさせた

「もー…どうしたんすか……」

「あの棚の上にある本取ろうとしたらさっ、リーダーのルアーの入った箱が落ちてきて…」

「んで…ルアーのどこに指の切れる要素があるんですか……」

「んー。魚のしっぽ?」

………………
……返す言葉が見つかりません。

「ホントに馬鹿ですね」

「ばかばか言うなよ!」

キーキーうるさい相葉さんにぶつくさ言いながらも、消毒と絆創膏を準備する俺

「ニノやっさしー!」

「言われなくても分かってます」

適当に交わして、細い指に消毒液を吹き掛けると、痛みからか手をビクッと震わせる相葉さん
「大丈夫?」と問いかけると、歯を食いしばってコクリと頷く
頷いたのを確認して、丁寧に絆創膏を貼る

「はいっ。できた」

ポンッとわざと傷口を軽く叩いてみる

「痛っ!!!もー、最後まで優しくしてよー!」

……だって
口を尖らして困ったように笑うあなたがいいんですもん

だから僕があなたにデレデレになる日は来ないということを知っておいてくださいね?

「ニノ?なんでニヤニヤしてるのー?」


……おっと

相葉さんが単細胞でよかった


ーEndー

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