ディアラヴァ

□起床の時間
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スバル「おい……いい加減起きろ! 起、き、ろ!」

(スバルはユイを揺り起こす)

スバル「ったく……いつまで寝ているつもりだ」

(目覚めるユイ。

 ユイは何が起きているか分からないような様子)

スバル「ようやくお目覚めか。

    ――昨日何があったか、覚えてないか?」

(きょとんとしているユイ。ユイは何が起きているか分からないような様子)

スバル「――覚えてないのか。昨日の様子じゃ、それも無理はないな」

(周りを見渡し、ようやく今の状況を把握し始めるユイ)

スバル「……ようやく意識が戻ってきたか。ここは俺の部屋だ。俺がアンタの血を

    吸ってたら気絶しちまったからわざわざここまで運んできてやったんだ」

(ユイは礼を言う)

スバル「――別に、大したことじゃねえよ」

(無愛想なスバルだが、機嫌を害していないようでユイは安堵する)

スバル「その代わり、お前の血をたっぷりと吸わせて貰ったからな、ほら」

(スバルはユイの太ももに触れ、その手は膝に、そしてユイの

 足首に移っていき、足首の何かが二つの穿たれた痕跡――ヴァンパイアの牙の痕跡――を彼女に見せつける。

 ユイは昨日の夜のことを急に思い出し、顔を紅潮させていく)

スバル「……ようやく昨日何があったか思い出したか?」

(スバルは意地悪げな笑みを浮かべる)

スバル「――ジュルッ……お前の、鉄分に満たされたあの甘い液体が

    喉を満たしていく感触……相変わらずたまんねえぜ」

(スバルはユイの左耳に口を近づける)

スバル「血を吸われているときのお前、目が蕩けていて、すげえ色っぽかった」

(ユイは恥ずかしがる)

スバル「俺は褒めているんだぞ? なんで素直に俺の言葉を受け取らない。

    素直にありがとうって言った方がかわいいぞ

    ――ま、その方が強情なお前らしいけれどな」

(スバルはユイの頬に触れる)

スバル「なあ、もっともっと血を吸われたら、お前はどうしちまいそうだった?

    気持ちよくて変な声が出そうになっちまったか?

    おかしくて自分が自分でなくなりそうだったか?

    ――それでもいい。そうなっちまうのは、お前だけじゃない。

    男でも女でも関係なく、ヴァンパイアに血を吸われると、

    気持ちよくてどうしようもなくなっちまう。無意識のうちに

    ヴァンパイアの牙で吸われることを求める。それが、ニンゲンの性(さが)だからな」

(ユイは恥ずかしさのあまり立ち上がろうとするが、手で制される)

スバル「――おい、ここから出て行くつもりか?

    まだ部屋から出て良いから、俺は言ってないぞ?」

(ユイはベッドに押し倒される)

スバル「まさか、図星だったのか?」

(ユイは目の前のスバルを怯えながら見上げる)

スバル「……ヴァンパイアの牙で吸われることを、最初は嫌がっていたくせに、

    だんだんとお前は吸われることが癖になっている。

    お前は他の男の牙でも受け入れるだろう? ――お前は、どうしようもないインランだな」

(ユイは否定しようと首を振る)

スバル「否定しても意味がない」

(ユイの唇にキスをするスバル。ユイもそれを拒まない。ユイの瞳はスバルのキスで蕩けてしまう)

スバル「……チッ。俺も、そんなお前の血がこんなに欲しいと思っちまうなんてな。

    ――俺もおなじ穴のムジナなのかもな」

(ユイの首筋に口を近づけるスバル)

スバル「――なぁ、また吸っても、いいか?

    まだ、お前の血が足りねえんだ――」

~fin~

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