ディアラヴァ

□愛は肉欲
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愛なんてものが存在するなんて僕は信じない。
「ビッチちゃん、かわいい」
そんなことを言う僕を、冷静に見下ろすもう一人の自分がいる。
ユイにねっとりとした『愛』の言葉をささやく中、僕の頭は驚くほどクリアだ。
こうやってされれば、ニンゲンの女はいいんでしょう?
次にこうして動いてやれば、ユイはたまらないといった様子で腰を動かしだす。
「そうでしょう? ビッチちゃん」
その言葉をユイの耳元でささやく。
すると、ユイはトロンとうっとりとした目で僕を見つめてくる。
もっと欲しい。
そういわんばかりに。
――ほら、やっぱりそうだ。
予想通りの反応。彼女はこういうのがたまらなく大好きなんだ。
こうやって、『ニンゲンの女はやっぱりみんなそうだ』と自分の中で再確認する。
そんなことしていて、楽しいかって?
ああ、たまらなく楽しいさ。
征服欲が満たされる。

永遠の愛なんて僕は信じない。
あるのは、そこにある肉欲のみ。
彼女がヴァンパイアから血を吸われ、痛みと快楽の混じった刺激がほしいとと願う。
そして僕は血を求め、ニンゲンから血を吸って快楽を与えてやる。
需要と供給がマッチした。
ただそれだけのこと。
僕たちの間に愛なんてものはない。
だから。
僕は彼女の甘い血をすすりつつ、こう囁く。
「――ね? ビッチちゃん。今日は楽しもう?」
~fin~
2012.10.06

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