ディアラヴァ
□ラブ・ポーション*
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レイジさんは、わたしが誰かほかの人に吸血されていたしても、取り乱した様子を見せない。
二人きりでも他の兄弟みたいに隙あらば襲おうともしない。
――ちょっと色っぽいことをしてくれるのかな、って思ったらからかわれるだけ。
本当にレイジさんはわたしのこと、好き?
だからちょっと今日はいたずらをしてみた。
わたしは、頃合いを見計らって、レイジさんの食事に媚薬を混ぜたのだった。
〜ラブ・ポーション〜
「……」
レイジさんをちらと見ると、何事もないかのように、
いつものように綺麗なテーブルマナーで皿をきれいにしている。
兄弟たちがギャーギャー言っているのを諭すこともあるが、それだけだ。
『いつもの』変わらない風景だ。
「……ごちそうさま」
食事を終えた後も、レイジさんを見ているのだが何も今までと変わった様子はない。
レイジさんはそういうと、他の兄弟たちの家事も終えると、
『いつもどおり』部屋に戻っていった。
――でも、ひとつだけ、ちがうような。
わたしはレイジさんのまっすぐ伸びた背中を目で追いながら思う。
いつもだったら、何かしらわたしのほうを見てくれるか意地悪でも声をかけてくれるはずだ。
――なのに今日は……
心の中で違和感がふつふつとよぎる。
自分の『あのこと』がばれているのではないか。
だから怒っていて、目を見てくれないんじゃないか。
(どうしよう、謝らなきゃ……)
わたしはレイジさんの後を追った。