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□迷子の弱者
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「ふぅ…」
疲れきったように壁によりかかる少女
ブラウンの髪の毛がさらりと揺れた。
パシッ
その腕を掴んだ人影。
「…ハル───…?」
4.迷子の弱者
あれから数日。
数ヵ所で多発するオーガブランコの残党の男たちの出現。
それはいずれもぼろぼろの瀕死状態。
この噂はすぐに町中に伝わり謎のヒーローは、
島の平和を守る本物のヒーローになっていた。
「…おかしい」
そんなある日、その状態に異常を感じたのは聖杯の幹部。ノヴァだった。
「何が?」
金髪を揺らした少年、リベルタが反応した。
「この状態がだ。」
仕事が一段落したリベルタ、パーチェ、ルカ、フェリチータ、ノヴァは港近くのリストランテで昼食にしていた。
机いっぱいにラザニアを広げるパーチェ
それにため息をつきながらいいか?と繋げた。
「オーガブランコはもともと崩壊した組織、なのに発見される男たちは皆そこの人間だ。」
「それの何がおかしいの?」
不思議そうに質問したフェリチータに、リベルタがそーそーと頷いた。
「うおっ!?」
浮かせた椅子をそのままバタンと後ろに倒れたリベルタ。
「馬鹿か…?」
「うるせぇひよこ豆!!」
「僕をひよこ豆と呼ぶな!」
ガタンッと睨みあった二人をルカがまあまあと制した。
「それで、ノヴァはそれのどこが気になるんです?」
少しだけ不機嫌そうな顔をし、はぁっとタメ息してから答えた。
「推測だが、おそらくオーガブランコにはまだ組織力がある。」
「それって…」
ガチャーッン!!
大きな音がして扉が開かれた。
驚いて全員が視線を向けると仕事で見慣れた黒服。
「皆さんっ…大変です…ッ!!」