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□7年
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「あの子が…帰ってきた?」
「そうだ」
滅多に見せない表情を陰らせたダンテ
「あなた」
「あぁ、するべき事は見えているだろう」
辛そうな顔のスミレを見据えて眉をしかめる栄光のアルカナ、ダンテ。
「長かった────……」
5.7年
「それで、珍しく私を呼んだ理由は?」
煙草片手にサングラスの奥から相手を見つめる
壁に寄りかかり黙りを続ける同胞に飽きたので、
窓のそとに気を向けた。
一体なんなんだ…
「ジョーリィ」
やっと口を開いたと思ったら名前を呼ばれる
「ふっ、前置きなど。お前らしくないなダンテ」
「ジョーリィ、聞いてくれないか」
「…」
未だに思案顔を続け、ようやく顔を上げた
「居たんだ」
「…誰がだ」
「アイツだ。覚えているだろう」
本当にらしくもなく回りくどい言い方に
眉をしかめて誰かを催促した。
「…港で見た。
帰ってきた……ハルが」
名前を聞いて目を見開いた。
「我々も全力で探す…が、早まるんじゃないぞ」
それだけ言い残して姿を消したダンテ。