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□雨うたれ
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小さい頃から、雨が嫌いだった。

唸るような豪雨は、
勢いと共に愛しいものを連れていく。


そんな気がするから。


冷たい温度が自分に染み込んで、広がっていく。


そんな気がするから。




10.雨うたれ




「本題に入りましょうか」



少女は応接用のソファーに腰を下ろし、足を組んだ。


モンドの表情は変わらない。

ずっと探るような、
威圧的な目をしている。



そんな状況を楽しむように、
笑みを浮かべながら少女はタイを緩めた。



「その、仕事の話か。」


「えぇ。
あなたたちも、オーガブランコの存在は知ってるでしょう?」


「はい。幾日か前に島にきた組織です」

ルカが答えたのに対し、
ハルはにやりと口を上げた。

「そ。それそれ」


「それがどうしたんだ」


「じゃあ、これは?トルレラ」


モンドの質問を無視して、
次の問題とばかりに人差し指をたてる少女。



パーパ相手にすごい余裕ですね…。


そう思いながら、
出された単語を考えるが、
自分の記憶にそんな言葉は無かった。



「こっちは組織と言うより、チームだね」


足を組み換え肘をつくハル。


「チーム?」


「そう。
何で壊滅したはずのオーガブランコの残党が未だに暴れてるか、
不思議だと思わない?」



いつかのノヴァが言っていたのと、
同じことだ。
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