book

□訪問者
2ページ/5ページ




ジャリ…


タイルを強く踏みしめて、
鳥たちの鳴き声に耳をかたむける。

空は青紫。
空気は澄んで、ツンと冷たい。



ゆっくりと瞼を上げ、それを睨み付ける。


白い砦。レガーロの象徴。

アルカナファミリア


自然と笑みが浮かんだ。




「ゲーム、スタート。」




9.訪問者






今朝、
目覚めの良かった僕は今書庫にいる。


前から気になっていた物語を読むのに丁度良い時間だったからだ。


仕事に追われる毎日の中では、
有意義な時間だったな。


そう満足しながら、
向こう側の棟に行くため玄関ホールを横切ろうとした時。

見慣れない顔が玄関で挙動不審にしていた。


服装だけ見るとファミリーにも見えるが、
見たことのない顔だ。



不審に思い手すりごしに2階から様子を伺っていたら、
バチリと茜色の瞳と目があった。

「あ、ねぇ君」


あまりに馴れ馴れしい口調に、
一瞬眉を寄せた。


「ここはファミリー以外は立ち入らない約束だ。誰だ?」


階段を下りながら問いかけると、
んーと彼女が声をあげた。



「…とりあえず、モンドを呼んでくれる?」


?「パーパを知っているのか?」

ますます怪しい…と目を鋭くすると、
彼女は面倒そうに顔を歪めた。


「知ってるから、早く」


「……ひとまず「ハル!?」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ