その他

□日常の告白
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「好きだよ、土方君」






 いつものように巡回中の真選組の副長さんを見つけて喧嘩して。今日はちょっと余計に怒らせてしまったかもしれない。公園の中を追いかけっこして、さすがにお腹すいたし、お金のない状態であまり体力使うのもよくないなあと公園の脇の家の屋根に飛び上がった。
 忙しい副長さんはどんなに怒っていてもたいていこの辺りで退いてくれる。言ってみればこれは追いかけっこはお仕舞の合図。喧嘩がレクリエーションとして成り立つ二人だからこその、暗黙のお約束だ。
 さあ子供たちも待ってるし、帰ろうかと立ち上がる。その時、ふと後ろを振り返った。なんてことない唯の反射。今までは振り返ったことなかったかといえば、首をかしげるくらい意味も無く、そうしない理由もまたなく。
 こちらを見上げる土方の顔が、出会ったばかりの頃、屋根の上で喧嘩したあの時と重なった。
 振り返ったのと同じように、その時沸き上がった感情にも意味も理由も無かった。だからその台詞は本来ならあるべき気負いも躊躇いもなく口を突いて出たのだ。

「好きだよ、土方君」

 きれいな顔にきょとんとあどけない表情。

(ああ、愛しいなあ)

 その顔をじっと見ていたいという気持ちもあったけど、銀時はお腹が鳴ったので、自分よりよほど腹ぺこの娘を大人しく家に連れ帰るためにその場を立ち去った。
 だから知らなかった。



「ひーじかーたさーん。なぁに可愛い顔して旦那の背中見送っちゃってんですか。気持ち悪ィ」
「うるせエエエエエッ、誰が可愛いだ!」

 常には白い貌を真っ赤に染めて年下の部下に怒鳴り散らす可愛い彼を。

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