その他

□本能
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 ムカつく。今日も朝からあのヤローの顔を見ちまった。

 真選組の鬼の副長様は今朝も絶好調だった。ちんたらやってる平隊士を怒鳴り飛ばしミントンにふける山崎のケツを蹴りあげて会議を開始。明日っから始まる国際会議の議場の警備なんて花形の仕事を請け負えたもんだから大喜びだ。そんなんだから真選組は幕府の狗なんて呼ばれるんでィ。

「これで真選組の働きが認められればいいな!」

 なんて近藤さんがにこにこ言うもんだから土方コノヤローが調子に乗りやがる。俺たちァしょせん幕府の愚連隊。お偉い方々にご褒美貰って尻尾振って。それがそんなに嬉しいですかィと、相手が近藤さんでなけりゃァ言ってやるところだ。

 あーあ、詰まんねえ。喧嘩して血ィ滾らせて嗤ってんのがてめェらしいんじゃねえのかよ。近藤さんも最近じゃあ妙に小奇麗なかっこして澄ましかえってやがる。かっこ悪くても汚くても頭の上なんざ気にしねェで笑ってんのが近藤さんには似あうってのに。

 らしかねェや。

 どいつもこいつも一端の狗の振りしやがって。武州にいた時ァ、犬は犬でも人に尻尾振るような飼い犬じゃ無かったろうが。野良犬の誇りはどこにやりやがった。俺ァ、こんな連中と一緒んなって尻尾振るために姉上を置いてきたってのかよ。あーあ、ムカつく。

 冗談じゃねえや。俺ァ尻尾振るなァ御免だぜ。近藤さんの頼みでも聞けることと聞けねえことがあらァ。俺ァ野良犬の誇りを忘れたりなんかしやせんぜ。あのヤローが捨てたもんを俺が全て拾ってやらァ。てめェが飼い犬になるってんなら俺ァ野良犬の生きざまを見せてやるだけさ。俺を見るたびにてめェが捨てたもんを重い知るがいいや。見ろよ。俺ァ昔のアンタだ。誇り高い野良犬だったアンタはどっかいっちまっても、あったもんを無かったことにはできねェと知れ。

 さあ、思いだしたらさっさとその首についた首輪を噛みちぎりやがれ。てめェが振りきりゃ後は勝手に付いて行くんだ。てめェがそう躾けたんだろィ。

 先頭切るなァアンタの得意。ほらほら、さっさとしねェとてめェのケツに火が付くぜイ。

ドッカーン!!

「ちょっと総悟君んんんんっ!?朝からバズーカは止めなさいっていつもいってるでしょ!」




※野良犬代表土方さんに憧れてた少年沖田。土方さんは飼い犬の皮をかぶってるだけだと思うよ。近藤さんは微妙。かぶりきれずに影響受けちゃってる部分もありそう。

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