PLAY ROOM(置き場)

□原作で遊ぼう
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■第五百二十一訓『戦の後にはカラスが哭く』で高土しよう
「高杉ィいいいっ」

 背中から腹を貫かれて倒れる高杉の元に土方は走った。だが負傷しているのは土方も同じだ。土方の目の前で高杉が地に伏すのを見ているしかできなかった。

「なんっでっ、誰が!?」

 抱き起こすのも命にかかわるのではないかと不安になるほどの傷だ。高杉に深手を負わせた刃の先を見ると、遊環が揺れている。
 土方は倒れたままの高杉を庇うように背に隠し、視線を背後に向けた。

「言ったはずだ」

 ずらりと並ぶ僧侶の集団がいた。

「師に拾ってもらった命」

 その最前列に一人だけ無手の男がいる。

「無駄にするものではないと。八咫烏が告げし天啓に二度目はない。松陽の弟子たちよ」

 深く刻まれた眼の下の隈が男の顔を陰鬱なものにしている。その顔を土方は江戸城で一度だけ目にしたことがあった。
 天導衆と一緒にいた男だ。男が何物かは知らないが、敵であることだけは確かだ。そして男がここにいると言うことは、

「まさか」

 ぐおん、ぐおんと崖の上からエンジン音を響かせて御座船が現れた。一帯に影を落とし、木々をなぎ倒して舟は着陸する。衝撃波が敵も味方も無関係に襲い、土方は拭きあげられる砂利から腕で目を庇った。
 ふと背後の高杉を見下ろす。土方が盾になって高杉には埃もかかってはいない。顔を見て呼吸を確かめたいと思ったが、血にまみれた顔はうつ伏せたまま、覗き込むことすら許されなかった。

「晋助は俺が守る」

 土方はささやかな決心をその横顔に投げかけた。そして御座船から降りてくる天導衆をまっすぐに睨みつける。
 高杉を守る。土方は覚悟を決めた。もし、自分が倒れることがあるとするならそれは、高杉を守り切れなかった時だけだ。

※高杉の危機には土方が駆けつけるのが当然だよね。できれば逆の方が嬉しいけど高杉さんが今回は痛すぎる!
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