PLAY ROOM(置き場)

□原作で遊ぼう
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■第五百二十四訓『さらばダチ公』で高土しよう

 江戸に戻った土方たちは以前の仕事に戻った。とはいえ、上部組織に敵対したも同然の土方たちにこれまで通りの仕事ができるか分からない。だが少なくとも上が何か言ってくるまでは土方たちは今まで通りであり続けるだけだ。
 その合間を縫って、土方は地上を離れた。




 高杉はまだ目を覚まさない。烏に啄ばまれた腹の傷はこの男が二度と立ち上がれないのではと思わせる重症だった。
 また子も万斉も暗い顔をしている。見舞いに訪れる土方自身も常の動きができるとは言えない状態だ。

「土方殿、真選組の方は放っておいていいのでござるか」
「良いわけねえよ。けど、目を離した隙にどっか行っちまいそうで怖ェんだよ」
「…」

 万斉は高杉を一心に見つめる土方の横顔を盗み見る。その顔色は悪い。怪我だけではなく心労が嵩んでいるのだろう。薄い唇から吐露される心情。土方は万斉に語って聞かせると言うより、自分の心ろ整理しているのかもしれないと思う。

「こいつは自分が決めたもののために生きて死ぬ。それを見てるしかできねえ俺が、俺たちがどう思おうと」
「晋助は後ろに続く者たちのことを忘れたりはせぬよ」
「ああ。でもそいつらのために足を止めたりしてくれねえ」
「…」

 うっすらと優しさと悲しみの入り混じった表情をする土方は美しかった。

「俺が生きてくれと願っても、こいつが自分で生きたいと思わなきゃ、俺は捨てられるだけだ」

 影のある笑みを浮かべて土方は万斉を仰ぎ見た。

「ひでェと思わねえか。こいつを殺さなきゃいけねえ立場の俺に生きてくれと言わせておいて、こいつは死ぬも生きるも俺と関係ないとこで決めちまう。少しはこっちを省みてくれたっていいと思うんだけどな」
「…晋助は、主を大切に思っておるよ」
「知ってるよ。自分の決めた道や、お前らや、昔の仲間。そんなモンの後ぐらいには大事にされてることぐれえ」
「…」

 自虐が過ぎると言うのは簡単だったが、否定する根拠もまた万斉は持たなかった。だがそれでも、この男が高杉にとって特別な何かであることは間違いないのだ。だから己にできるのはこの男のためにも生きてくれと祈ることだけだと万斉は口を閉じた。
 青白い肌をした土方の目は一心に高杉の顔だけに向けられていた。

※もう銀魂独特の平和なお話は無いのかな
 万斉が見た高杉の目の中にいたのは土方だと信じて疑わない!
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