PLAY ROOM(置き場)
□原作で遊ぼう
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■第五百五十訓『さらば真選組』で高土しよう
江戸を離れることになった。
後悔はしてねえ。
あの時桂たちの口車に乗らなきゃ近藤さんは今ここにいないわけだし。
それは俺にとって一番の後悔になっただろうからな。
けど、短くない時間使ってきた家を前に俺の口から洩れるのは溜息ばかりだ。
最後にちょっと寄るとこがあると言って出てきた手間、そう長くは時間がとれねえ。
そうちょっとした書き置きを置いてくるくらいしか。
手紙の相手がこの家に来るかどうか、その前に手が回って敵に発見されるかもしれねえ。
残せる言葉はさほどない。相手の目に触れることなく捨てられる可能性もある。
無意味だ。
それでも何か残していこうというのは俺の、未練だ。
俺がこの家に帰ることだってないかもしれない。
それでもこれをあいつが見る可能性があるなら。
二つ折りした白い紙を閉ざされたままの玄関の隙間から滑り込ませて俺はそこを立ち去った。
『またな』
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