短編
□クリスマス!
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遅い。
俺はレン。只今、俺のマスター…もとい、“俺の”兇鵺の帰りを待ってるワケだが。「友達とカラオケ行ってくる〜♪」とか言って、昼頃に家を出てから、もう6時間は軽く経った。遅すぎる。
ガチャッ
『たっだいま〜!!』
あ、帰ってきた。ってか、スッゴい声ガラガラなんだけど!?
「お帰り、兇鵺。ずいぶんと遅かったね。」
『ごめんね〜。いろいろあって』
俺が玄関まで行くと、靴の脱ぎ途中なのに抱き付いてきた。なんだこの小動物。可愛すぎるだろ。
「兇鵺…嬉しいけど、靴脱いでからくっつこうね?」
『はーい。』
兇鵺はそそくさと靴を脱いで、家に上がった。その流れでリビングに向かう。
「それで、兇鵺は誰とカラオケ行ってたの?」
『ん?リンちゃんとミクとメイコ姉と、リントとカイトとクオの6人だよ?』
ちくしょう。リントとカイトとクオもいたのか。
『あれ〜?レン君ヤキモチかな〜?』
こいつなぁ。分かってるのにワザと聞きやがって。悔しいから俺は前を歩く兇鵺を後ろから抱き締めた。
『ちょっ、レン!?何!?どうしたの!?』
「兇鵺が悪い。…妬くに決まってるだろ?」
『…ごめんね。』
「いや、いいよ。さぁ!今日はクリスマスなんだから、ご馳走用意したよ。食べよ?」
『ほんと!?やったー♪』
俺は、はしゃぐ兇鵺から離れて、リビングの扉を開いた。
『レンが作ったんだ〜!すっごーい!』
「兇鵺が作ると魔女の料理だから…。」
『ムッ!そこまで酷くないよ!』
「じゃあ前に出来た紫色のボコボコ言ってる液体は何だよ。」
『あ、あれはシチューを作ろうとして!』
「どうしたらあんな色になるんだ!?」
やっぱり自分で作って良かったと、俺は改めて思った。
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