2人の初恋

□懐かしい出会い
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「何?アンジュ。なんか用か?」
「あ、キョウヤ君、早かったわね。」

ルカの看病しているアンジュが、キョウヤの方を向いた。

「これからアシハラに行くでしょ?あなた、アシハラのこと知らない?」
「何でオレに聞くんだよ。」
「あら、だってキョウヤ君、ガラム出身でしょ?」
「まぁそうだけど。」
「ガラムからの船はガルポスとアシハラにしか出てないの。あなたがナーオスにいたってことは、ガラムからアシハラに行って乗り継いでナーオスに着いたってところじゃないかなって思って。」
「…すっげー。その推測、大正解だよ。」
「ふふっ。」

キョウヤが呆れ顔でアンジュを見ると、アンジュは笑った。

「アシハラかぁ。どうだったかなぁ。数年前の話だからなぁ。」
「信仰場所だけでも覚えててくれればいいんだけど。」
「あ、信仰は知ってる。あそこは、死ぬと神として崇められるんだよ。王墓にそれらしいのがあるって聞いた。」
「あら、スパーダ君と違って、信仰についての話は大丈夫そうね。」
「アイツと同じにすンなよ。オレの前世がアレだからな。」
「キョウヤ君の前世?そう言えば誰だったっけ?」
「テミラス。」
「えっ!?そうなの!?」

意外そうなアンジュの顔を見て、キョウヤが睨んだ。

「なンだよ。悪ィか。」
「あ、そう言う意味じゃないんだけど…。」

真面目で目上の人に忠実な、堅苦しいと言われてもおかしくない程に敬語を崩さなかったテミラスの転生者が不良となれば、誰でも疑いたくなるのはキョウヤも分かるが、いざ言われるとやっぱり腹が立つ。

「ご、ごめんなさい

あまりの睨みにアンジュが謝った。

「ま、いいけど。話はそれだけか?」
「え、えぇ。ありがとうね、キョウヤ君。」
「(オレ女だけどな)…別にいいって。」

心の中で軽くつっこんでから、キョウヤは部屋を出ようとした。すると、アンジュがキョウヤに頼み事をする。

「あ、そうだ。食堂に行って、お水貰って来てくれない?」
「パシリかよっ!」

仕方なくアンジュのパシリ役になったキョウヤだが、数分後、アシハラに着いてしまったため、シャドウに合わずに船を降りることとなってしまった。

「(また会えたらいいんだけどなぁ…)」
「キョウヤ?さっさと行くわよ?」
「置いてくでぇ?」
「ちょっ、待てゴラァ!」

キョウヤが船から降りたころ、シャドウもまた、キョウヤのことを考えていた。

「(なんか…懐かしいカンジがしたな…あのキョウヤってヤツ)」





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