短編
□クリスマス!
2ページ/3ページ
『ふぅ、お腹いっぱい〜。ごちそうさまでした〜!』
「お粗末さまでした。」
ニコニコ笑う兇鵺を微笑ましく思いながら、俺は言った。
「そう言えば、兇鵺はホントに今までカラオケだったのか?」
『え、えーっと…。』
目が泳いでる。分かりやすいなぁ、こいつは。
まさか男と会ってたワケじゃ…ないよな。いくら何でも、兇鵺がそんな事しないと信じたいし。
『あ、あのさ、実は……自分から言おうとしたんだけど、これ…。』
「…は?」
ぎこちなく兇鵺が出したのは、可愛くラッピングされた箱。ってこれ、クリスマスプレゼントか?
『何にしようか迷ったけど、特別な物がいいなって思って。』
中に入ってたのはリストバンド。バナナの刺繍が入ってる。確かにこんな物、売ってないだろうな…バナナの刺繍って。
『ほら、レンって歌も歌うけど、ダンスもやるじゃん?だから、メイコ姉に裁縫教えてもらって、刺繍を……ダメかな…?』
ああ、もう。さっきからなんなんだ、この小動物!固まった俺見てシュンとなるとか、可愛すぎだろ!
「ダメじゃないよ、凄い嬉しい!ありがとう、兇鵺。」
『!…えへへ〜♪』
「だから遅れて帰って来たワケだ。」
『そう言うこと!』
「じゃ、俺からもクリスマスプレゼント。」
『えっ!何なに?』
目をキラキラさせる兇鵺に目を瞑らせて、俺は兇鵺の後ろにすわり、それを付けた。
「はい。目ぇ開けていいよ。」
『?……わぁ!ネックレス!しかも可愛い!!』
兇鵺の方が可愛いよ、なんて、思ったけど言わない。んなキザったらしいこと言わないよ。気持ち悪い。
『ありがとう!レン!』
「どういたしまして。メリークリスマス、兇鵺。」
『うん!メリークリスマス!レン!』
あー、もう食べちゃっていいですか?この小動物。
.