短編

□お隣さん
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「ねぇ、兇鵺!さっきレン君と何か話してた!?」
「…面倒だったけどね。」
「いいなー!」

はいはい。あんたのレン君ラブは耳に胼胝だわ。
今日は5時限目で学校は終了だったので、鞄に授業の道具をしまう。部活もないんで、サッサと帰ろう。
と思った矢先。友達の後ろから、あのウザい野郎、つまり、鏡音レンが出てきた。

「なぁ、紅さん。今日暇だろ?さっき言ってた英語の勉強会、俺んちでやんねぇ?」
「…何言っt…」
「えー!いいな、兇鵺!」
「今日リンがいなくて、1人なんだよ。な?」

友達とレンの2人から同時に詰め寄られた。これは困る。

「わかった分かった!友達も一緒ならいいよ。」
「うん?あ、いいよ。」
「いいの!?…あ、あたし部活あるわ…チッ…ごめん、やっぱり行けないや。んじゃ!」

友達がダッシュで教室を出て行った。「ドチクショー!」って声が聞こえたのは気のせいだと思いたいけど。さて問題はこの男。いつの間にか教室には私とレンのみ。早く帰らねば。

「…じゃ、私も帰るから。」
「おい。俺んち来るんだろ?」
「…勉強会なんていらないって!












言ってるだろ…。」

レンに引っ張られて来てしまった。レンの家に。なんでこんなコトに…(泣)

「あがれよ。ほら。」
「…お邪魔します。」

リビングまで促されて、仕方なく家にあがる。レンは飲み物を取りに、キッチンの方に行く。私は適当なところに座らせてもらった。

「なんか飲むかー?」
「なんでもいいわよ…。サッサと勉強会やって帰らせて。」
「なんだよ、俺が無理やり連れて来させた見たいな言い方じゃん。」
「無理やりでしょーが!自覚ないの!?」

っと、ツッコミ入れてる暇じゃなかったわ。早く英語を…。

「?昨日の宿題か?まだやってなかったんだ。」
「うっさいわねぇ。…そう言うあんたはやったのよね。」
「もちろん。」

プリントを広げて硬直する私の目の前に座って、レンは丁寧に文の作り方を教えてくれた。

「あ、これ過去分詞形だよ。だから…」
「…へー。ってか、過去分詞って何。」
「(ズリッ…)」

いや、冗談じゃないんだけどな…。こんなカンジに回答を埋めていった。なんで初対面の私に勉強会やろうなんて切り出したのかと疑問に思ったが、今は英語の方に集中した。






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