短編
□お隣さん
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「あ、もうこんな時間か。」
「…ホントだ。リンが帰ってくる。」
「そう言えばリンって誰。」
「俺の双子の姉。全然姉らしくないけどな。」
レンが愚痴を言い出しそうな雰囲気を出した。私はもちろん無視するけどね。
「今日はありがと。正直助かったわ。」
「どういたしまして♪」
なぜレンが満面の笑みなのかは分からないけど、なんかカッコいいなぁ、なんて思ってしまい、私は急いで立ち上がった。
「そ、そろそろ帰るから。」
「途中まで送ろうか?」
「いらないわよ。」
「いいからいいから。暗くなってきたし危ないよ。」
断っているのに無理やり付いて来ようとするので、私はもう何も言わないことにした。サッサと帰ろう。
外に出れば少し寒い。まだ1月だからなーとか思いながら歩き出した。
「そう言えば、なんで初対面なのに勉強会したわけ?」
「…初対面、かぁ。俺そんな気なかったからなぁ。」
「は?」
何を言っている。初めて話したヤツ…しかも、興味ない男子は初対面扱い決定だろ。
「俺、紅さんと一度は話してみたかったんだよ。…前からカッコいいなーって気になってて。」
「…はい?」
急に何を、と思って振り向けば、少々照れ顔のレン。
「…あのさ。私、男に興味ないって言ったよね?変な感情を抱かれても困るんだけど…?」
「あ、大丈夫だよ。そこら辺は理解してるから…。」
苦笑混じりに言うレンはどこか寂しそうだった。けど、こればかりは仕方ないから。うん。
10分後。私の家に着いた。案外近かったのね。
「途中までって言いながらも、最後まで来ちゃったわね。」
「ははは。いいだろ。んじゃ。」
「あ、ちょっと…。」
あ、ヤッベ。手を振って帰ろうとしたレンをつい呼び止めてしまった。
「えっと…今日はありがと。英語教えてくれて、送ってくれて。」
「…別に。じゃ、また明日な、紅さん!」
「うん、鏡音…君?」
「あ、俺はレンでいいよ。」
「え、レン君?」
「君もいらねえよ。じゃ!」
レンは走り出して帰っていってしまった。なんて勝手な…。また明日って言った時のレンの嬉しそうな微笑み、ちょっとドキッとした私がバカみたいじゃん!男ニガテのハズなのに…ま、いっか。英語の宿題終わったし(笑)
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