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□年の差なんてっ!!
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開いた歳はこれ以上広がらなければ、縮まない。

けれど気持ちはいくらでも、どうとでもなる。

その気持ちに迷いも憧れもない。

ただそれは『好きだ』という恋心だ。



「だから、速水先生のこと好きなんですって」


「落ち着け、渡部。一時の気の迷いだ」


朝礼10分前の資料室Uは毎朝の如く賑やかだった。
それもこれも地理担当の速水 透(はやみ とおる)の元へ朝礼ギリギリまで好きだ、と伝え続ける渡部 美雪(わたべ みゆき)のせいなのだが。

「もう、毎日毎日…どうして先生は頑固なの?」

「一回りも歳が違えば、流石に親御さんも泣くぞ」

「失礼ね!!私が幸せならパパもママも許すのよ!!」

毎朝こんなやり取りが続いている。
好きだ、といえば、ダメだ、と返ってくる。

「速水先生、年の差なんて気にしてたら今時一生独身貫くはめになるわよ」

ダン、と机を叩き主張してみるものの速水に渡部の声は届かない。

「あのな、渡部。俺は独身でもいーの。それに、生徒のお前に手でも出してみろ、会えなくなるぞ?分かったら朝礼行くぞ」

渡部の頭をわしわしと乱暴になで、さっさと入り口から出ていく速水の後ろ姿に、渡部は一筋の光をみた。
速水はまだ、一度だって嫌いとも好きともいってない、と。

「速水先生、それって…私がここを卒業したらいいの!?」

「それまでお前がこーんなおっさんのことを思っててくれるなら考えんこともないなー」

「思ってるわよ!!速水先生がおじいちゃんになったって大好きなんだから!!」

まだ可能性は消えていない、と渡部は思った。

「先生との年の差なんて気持ちで埋めてやるんだから…見てなさいよ!!」


渡部に残された時間はあと2年。
この間に彼女は年の差さえも埋めるほど気持ちを膨らませるだろう。
それを知ってか、知らずか、速水は幸せそうに微笑んでいた。





2012.10.28.riku.
文才が底辺で書いてて、うわぁ…って。
でも楽しかったし、爆走したし…(*´∀`)

完読ありがとうございましたっ!!
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