猫の足跡

□2にゃ
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その日は確か土方さんに呼び出されたんだったかな。
古典の授業だけサボりすぎだーってお説教をくらっちゃったんだっけ。


***


「……あーぁ」

強く降りだした雨に総司は顔をしかめた。

傘など当然持っていない。昇降口で暗い空を見上げるしかなかった。

「……」

家主である近藤学園長は仕事がまだあるため一緒に車で帰るという事は出来ない。どうしようもない状況にため息が漏れた。

「土方さんのせいだよ、あんな長いこと説教するから…」






「確かに長かったね、沖田君」

「え?」


突然聞こえた声に振り返った。

「光希ちゃん?」
「やっほー沖田君」

ニコニコと笑う女子に見覚えはあった。
自分に色目を使わない、貴重な女子の1人の榊原光希だ


「なんでこんな時間まで学校に残ってるの?」
「あたしも土方さんに呼び出されちゃって、お説教が終わるの原田先生と待ってたんだよね」
「あぁ、そうなんだ」
「で、今から帰るんだけど…沖田君、傘持ってないんでしょ?入れてあげよっか?」
「……ほんとに?」

思わぬ申し出に驚いてしまう
光希は傘を開きながら続けた

「うん、あたし駅まで行くんだけど沖田君の家って通り道だったよね?」
「…そういえばそうだったね」

光希は見返りなんて求めないだろうし、ここは頼んでもいいだろう
そう思い総司は傘にいれてもらうことにしたのだ。




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