さよならの時
□X
1ページ/1ページ
「……なんだコレ」
銀時が居間へと行くと、大量のケーキが陳列していた。
冷蔵庫も半開きになっていて、そこにもケーキが入っている。
「僕が知り合いの人から頂いたんです
銀さんもどうですか?」
ケーキを食べながら言う新八に銀時はゲンナリと返した。
「…いや、今日はパス」
「銀ちゃんがそんなこと言うなんて、珍しいアルな…明日は空から槍が降るヨ」
「うっせーな俺だっていろいろあんだよ」
なにかあったのか、銀時は疲れているようだった。
そんな銀時を見て、新八は気づいた。
「あれ、銀さん苺牛乳買いに行ったんじゃないんですか?」
「あー…忘れた」
頭をガシガシと掻きながら和室へと行ってしまう銀時に、2人は違和感を感じていた。
「……銀ちゃん、なにかあったアルか?」
「なのかな…」
甘いケーキのはずなのに、少し苦いような気がした。
***
橋の上で見たあの人影。
月明かり越しだったが、しっかりと見た。
あの長い金髪に
黒と浅葱色のアゲハ蝶が施された着流しは
あの、
見慣れてしまった横顔は。
「だめだよ。
せっかくきれいな髪なのに
そんな手で触ったら。」
「……………なんで、あいつが…」