short story

□おまけss集
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彼と会ったのは偶然の出来事だった



たまたま京へやって来たら変な化け物みたいなのを見つけちゃって殺されかけて。

あげく助けてくれたと思った人達は新選組で、またも死にかけ。
なんとか生き延びるも自由は無く。精神的に本当に辛かった



""
"邪魔したら斬るよ"
"殺すよ"




そんな事を平気で言う彼が嫌いだった。命をなんだと思ってるんだ、と怒りを感じた。

時間が過ぎていくうち私も新選組と打ち解けてきて、私と同じように千鶴ちゃんという子がやって来て、その後さまざまな事があった。そんななか、鬼副長と言われた土方さんや、鋭い山南さんに慣れることは出来ても、彼にだけは慣れる事ができなかった




"遊ぼうよ"

"金平糖、食べる?"

"君って面白いよね"



初めより彼はずいぶん優しくなったと思う
けど、やっぱり彼の命に対する考えを理解することは出来なかった
命を簡単に奪い、捨て、散る命に皮肉気に笑う彼が、どうしようもなく怖かった


あの時までは―――




























その日は新選組総出で健康診断をした。

当然、私も千鶴ちゃんも診断を手伝っていたのだが私はその時見た
先生と共に出ていく彼を。
















"――労咳だ"




こっそりとつけて行った先で、先生は確かにそう言った






"…やっぱり、そうですか"






彼は、なにも言わなかった。ただいつものように笑った。
ただ、その笑みは酷く寂しげで、儚かった。


私は、きっとそんな彼を見て怖くなくなったんだと思う。彼は命を軽んじてるかもしれないけど、使い方を間違えてないんだと感じた。





















それから色んな事があった


千鶴ちゃんは土方さんに、私は彼についていった


病は確実に彼の体を蝕んでいった
変若水を飲んだにも関わらず、良くはならなかった。そしてこの頃から、私の体調も優れなくなった

理由はわからなかった。



"――ちゃん、"


彼より、私のが寝てる事が多くなった
…私は、このまま死ぬのだろうか
不安に押し潰されそうになった時、支えてくれたのは彼だった



2人して役に立ちそうもない体引きずって土方さんに会いにいった。近藤さんは死んでしまった。
彼は土方さんを責めた。彼を責めた所でなにも変わらないのはわかってたはずだけど、責めなくちゃ仕方なかったんだ。



私たちは、新選組と離別した

変若水の力を押さえようと、雪村の地を目指すことにした。すると、千鶴が自分も行くと言い出した。
どうも、雪村の地には兄と親がいるらしい。
私たちもそれを了承し、3人で北へ向かった。





案の定、その兄と親は腐っていて話が出来る状態ではなかった。千鶴は必死に説得をしたけど、無駄だった


彼が剣を振るい、絶命した。


千鶴は土方さんの元へ行くらしい。雪村の地を去った。そして私たちの戦いは終わった。
そして私たちは――――――――――


























―――なに書いてるの?」


後ろから、彼に声をかけられた。相変わらず気配を消すのは無駄にうまい。
筆を置き、なんて答えような迷う


「…私と総司さんのこれまでの歩み?」


「見せてよ」

「だめ」

「えー」


即答で返すと不満げな表情をする彼。かわいいなぁなんて思った私は重症だと思う。

でも、これはまだ見せたくない。


「……これは、まだ終わってないんですから。完結してから、2人で読み返しましょう?」


そう言うと、彼は一瞬目を見開き、いつものように笑った
暖かな、優しい笑みだ


「……そうだね」


後ろから抱きすくめられ温もりが伝わってくる。とくんとくん。と、心臓の音が聞こえてきて泣きそうになった


「…総司さん、」

「なに?」

「生きてくれて、ありがとう」

「……」



何も言わない彼は、
私にそっと口づけを落とした。





















―――この話が完結する日はそう遠くないだろう。
私は完結する日が楽しみで怖い。

寝息をたて眠る彼が、愛おしい
離れたくない

この話が完結する日

私たちは、ふたりでひとりぼっちになる

その日まで
せめて、彼に幸せな夢を―――












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