short story
□だから傍にいて
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「おっはよー総悟!」
「……優嘉」
朝。
騒がしい食堂にさらに騒がしい隊士が沖田に飛びついた。真選組唯一の女隊士の優嘉だった
「暑苦しーんでさァ。離れなせェ」
「やだーあたしは暑くないもーん」
「うぜー」
「うざくていいもーん」
ニコニコとしながら少女のように甘えるが、実はこれでも彼女は沖田の補佐官だったりする。
元々、優嘉は真選組とは関係のないただの娘であった。しかし、暴漢に襲われた際みごとに撃退したのを近藤に見られスカウトされ入隊した。今では彼女に勝てる隊士も幹部数人となってしまった。
なぜか沖田によくなつき、彼の後始末役兼補佐として一番隊に配属されたのだ。
「総悟ー今日の仕事は?」
「あー…
覚えてねェ」
「うそ」
優嘉はニヤリと笑い即答する。沖田は顔を背けた。
「今日は、討ち入りでしょ?ナントカ攘夷党の。」
「そうだっけ」
「そうだってば!覚えてるくせに。」
「……」
沖田はチラリと視線を向ける。優嘉はいつもと変わらない笑みを見せていた
「…お前、」
「ん?」
「……いや、相変わらず冷てェ手してんだな」
「えーなにそれ。心はあったかいからいいもーん」
沖田は、嫌な予感がしていた
優嘉は、いつものように白い顔のままわらっていた