金色ウサギと赤い竜

□第2話
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「どーするよ次元……」



あまりの展開に呆然としながら振り返ると、両手をポケットに突っ込んで少し猫背になった黒い背中が部屋から出て行こうとしていた。



「ちょいと出てくる」

「おい待てってんだよ、じーげーん! 何が『ちょいと』だよ!」



ルパンは叫んだ。



「そーやって考えなしに行動すんの、やめない!? 今さら彼女の部屋へ駆けつけたって、居るわきゃねーだろーよ! ちったぁ頭を使わないとハゲるぞ!」

「うるせー! 頭を使わないと禿げるってーのはハゲの言い訳だ!」



足を止めて次元が反論する。

遺伝なので頭を使おうが使うまいが禿げる人ははげるのだが、それはこの際どうでも良い。

次元を引き止めることに成功したルパンはゆっくりと考える。



「納得いかないのは、何で綾ちゃんはあんなにウサギを引き渡すのを嫌がったかって事だ。浚われるくらいなら、さっさと渡しちまっても良かったはずだぜ?」

「ウサギの愛好家って訳でもなさそうだぜ。見つけた時は警備に引き渡そうとしていた」

「彼女はソーントンの話をどう思ったんだろう」

「彼女はわりと常識的だ。信じられないってのが本音だろうよ」

「うーん……」



ルパンは腕組みをして首をひねっている。

それを見た次元はイライラして怒鳴った。



「ウサギはどーでも良いんだよ! とりあえず綾を助けに行くぞ!」



ルパンはチラリと次元を見た。

こんな余裕の無い次元を見る事は滅多に無い。



「ほんじゃま、行こうか、次元」



二人は車に乗り込み、アジトを後にした。
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