怒りの用心棒

□おまけ
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「あのね次元……」
「うん?」
エアポート行きのバスを待ちながら、綾と次元は並んで立っていた。
綾は遠縁の叔父がいる日本へ行く事になっていた。
「ずっと……言いたかった事があるの。パパの催眠術でずっと忘れていたけど……」
綾は次元を見上げた。
真っ直ぐな瞳。
「私、貴方が好きよ、次元」
次元は驚いた顔で綾を見下ろしている。
「子供の時から、ずっと好きだった。思い出したの……私の名前を呼ぶ時、できるだけ優しく呼ぶようにしてくれてたのも、危険な時はいつも一番に駆けつけて、背中にかばってくれたのも……」
「綾……」
次元の表情に、戸惑いの色が浮かんだ。
「ごめんなさい、困らせるつもりはなかったの。私の気持ちを知って欲しかっただけ」
綾は寂しげに微笑み、睫毛を伏せた。
「日本に行ったら、もう会えないと思って……」
不意に視界が遮られた。
次元に抱きしめられたのだと気付いた綾は、顔を紅く染める。
「俺のそばにいろ、綾」
次元が言った。
「これからもずっと、俺が守ってやる」
綾は瞳を潤ませた。
「やだ……泣きそう……」
綾は次元の胸に顔を埋めた。
次元の腕に力がこもる。
「泣くこたぁねぇだろ。お前はいつも笑ってる方が良い」
俺は綾の笑顔が好きなんだ。
次元はそう思った。


おわり
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