夕陽の用心棒

□オ・シ・ゴ・ト、だと?
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綾がいなくなって半年。


次元はひと気のないコテージで、
誰も登ってくるはずのない山道をぼんやり眺めていた。


「仕事ん時は連絡すっから」


ルパンはそう言って姿を消した。


彼も次元と顔を合わせているのが気まずかったのだろう。


気づけば世界中のアジトを引き払い、消息不明になっていた。


一人になると、次元は綾の事を考える時間が長くなった。


綾の両親が死んだ。これは事実だ。


殺された。これも事実。


だが「Whodunit」には確証がないと次元は思う。


綾はルパン一族に殺されたと断言していたが、その根拠は不明だ。


次元はため息をついた。


クーデターには嫌な記憶しかないが、真相を探るためには思い出すしかない。


次元は古いアルバムをめくるように記憶を辿っていった。


ルパン側が殺したとすると、綾の両親はクーデターの首謀者側についていたのだろうか。


殺されたという事はそれだけ重要な地位にいたのだろうが、そんな重要人物なら名前くらい聞いたことがあるはずだ。


だが、次元の記憶に綾の両親はない。


調べてみるか。


次元は短くなった煙草を灰皿に押し付け、テーブルから車のキーを取り上げた。


と、ふいに外からクラクションの音が聞こえた。


窓から外を見やると、山道を登ってくるベンツSSK。


ルパンが手を振っていた。
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