夕陽の用心棒
□利用されてるんだ
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ニューヨークに急きょ設けられたアジト。
誰も知る筈のないそこへいきなり銭形が現れたものだから、ルパンファミリーは一時騒然となった。
「いやだ、何でわかったのよ?」
「げに恐ろしき、銭形の野性の勘……」
「勘? 勘なの?」
不二子と五右エ門のやりとりを無視して、銭形はズカズカと室内へ入ってきた。
ひどく思いつめた顔をしている。
「とっつぁんよ。せっかく来てもらったとこ悪いが、ルパンの野郎はここにはいないぜ? ここんとこヤツは姿を見せてねぇ」
そう言う次元の言葉も無視して、銭形はソファに腰を下ろした。
向かい側に座る次元をじっと見据え、おもむろに口を開く。
「今日は綾の事で来た」
「!」「!」「!」
エクスクラメーションマークが同時に3つ。
次元も不二子も五右エ門も、無言で顔を見合わせる。
「帰ってくれ」
やがて次元が言った。
「あいつとはもう……」
「綾はルパンを殺す気だ」
銭形の言葉に、不二子は目を丸くした。
「嘘よ。綾はルパンが殺せないから、せめて逮捕するつもりで、警部んとこへ行ったんだもの」
次元がジロリと不二子を睨んだ。
「なんでおめぇがそんな事知ってるんだ」
「ごめんなさい、私、綾に『帰ってきなさい』って言いに行ったのよ」
「断られたのだろう?」
「……ってことは五右エ門、あなたも?」
「うむ」
よけいな事しやがって、と次元はため息をついた。