Lupin(Short)

□おでんか・・・
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「五右エ門、ゴハンだよぉ!」

綾がテーブルに鍋を置いた。

「おでんか……」

「そ。ルパンも次元もいないから!」


彼ら曰く、

『おでんはつまみでオカズではない』

そうだ。


「心置きなくおでんが食べられる〜!」

綾は嬉しそうに箸を持った。

「綾、ちょっと待て」

鍋を見た五右エ門は綾を手で制する。

「あん?」

ハンペンをくわえた綾が顔を上げた。

「これは何だ?」

五右エ門は鍋の一角を指差した。

「何って……ナルトっしょ?」

「……」

五右エ門はもう一度鍋を見る。

一本を半分に斜め切りした鳴門が、竹輪と一緒に入れられている。

「ラーメンじゃないんだぞ……」

「えっ? 五右エ門はおでんにナルト入れないの?」

「拙者限定にするな。普通は入れない」

「へぇ、知らなかった」

綾は事もなげにさつま揚げをかじっている。

「でも良いじゃん。竹輪の親戚でしょ」

「竹輪と鳴門の血縁関係など知らぬ」

「ウチ、お雑煮にも入ってるけど」

「まさに雑煮という字が相応しいな」

「あ、やっぱり。ウチ限定なワケね」

綾は大根を箸で割り、口に入れた。

「じゃあ、ナルトはラーメンだけの物なの? 一生ラーメンの添え物なの?」

「鳴門の生涯など知らぬ」

「あっ、チャンポンに入ってるよね? うどんとか?」

「結局麺の添え物じゃないか」

「うー」

綾は昆布を噛みしめた。

「ナルトってさ、カマボコの兄弟でしょ?」

「両親は片口鰯と鮫か?」

「変なツッコミ止めてよ」

「兄弟持ち出したのはそっちだぞ……」

「カマボコの代わりに使ったらどうかな? 玉子丼とか!」

「あぁ」

「チャーハンとか!」

「そうだな」

「いっそ、お節料理に入れるとか!」

「それは止めろ」

「アハハ」

笑いながら綾は卵に箸を突き刺し、それから上目使いに五右エ門を見上げた。

「五右エ門…どーでも良いけど、早く食べないと全部たべちゃうよ?」

ふと見れば、既に鍋の三分の一はなくなっている。

五右エ門は慌てて箸を持ち、両手を合わせた。

「いただきます!」


おわり

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