Lupin(Short)

□まいった・・・
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穏やかな昼下り。

黙々と愛銃の手入れをしている次元。


彼のすぐそばに座っていた綾は、そっと囁いてみる。

「次元。好きだよ」


無言。


彼にもたれかかってみた。

「大好き」


それでも無言。


綾は体を起こして次元を見上げた。


『愛してる』

とか。

『お前だけだ』

とか。


言う人じゃないのは分かってる。


でも、聞きたい。


「ねぇ次元……」

「あんまり煽るな、綾」

次元は片手で綾の肩を抱き、自分の方へ引き寄せた。

照れているのか、視線は合わせようとしない。

「あのな、綾。オジサンだって日々努力してるんだ」

「努力って、何も言ってくれないじゃん」

「人にゃ向き不向きってもんがあるんだよ。それに“言う努力”じゃない」

「?」


次元は目をパチクリしている綾の耳に顔を寄せ、囁いた。

「何も知らない娘を、いきなり押し倒して大人のディープな世界に引きずり込んだらマズいだろーが」


とたんに顔を真っ赤にする綾。


「……ま、そーいうこった」

耳まで赤くしている綾を見て、次元は喉の奥でククッと笑った。


そーいうとこ可愛いのな、お前。


心の中で呟きつつ、手入れ途中の銃に視線を戻す。

軽く構え、照準の具合を確めた。


「次元……」

綾は次元の肩に手を置いた。

「うん?」

振り向くと、唇にふわりとした感触。


ゴトッ!


思わず銃を取り落とした。


「ばっ…ばかやろう! 弾が入ってたらどうするつもりだ……!」

と叫ぼうとした次元だったが。


「きゃー∝∀*※#!」

綾は真っ赤になって、意味不明な歓喜の声をあげながらピューッと走り去ってしまった。


「人の話をまったく分かってねぇ……」

次元はこころもち赤くなった顔を片手で覆った。


笑みがこぼれる。


「まいった……」


おわり

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